▲イラスト=UTOIMAGE
軍で伝えられる格言の一つに「作戦に失敗した指揮官は許されるが、配食に失敗した指揮官は許されない」がある。この言葉はそれだけ食事の重要性を伝えている。人工知能(AI)を使った最先端技術が今や生活のあらゆる分野を担当するようになり、軍事の分野もドローンが戦争の重要兵器になるなど決して例外ではないが、今回米陸軍は人間の炊事兵に代わってロボットに食事を準備させる「兵営食堂」を世界で初めて韓国に設置し、試..
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軍で伝えられる格言の一つに「作戦に失敗した指揮官は許されるが、配食に失敗した指揮官は許されない」がある。この言葉はそれだけ食事の重要性を伝えている。人工知能(AI)を使った最先端技術が今や生活のあらゆる分野を担当するようになり、軍事の分野もドローンが戦争の重要兵器になるなど決して例外ではないが、今回米陸軍は人間の炊事兵に代わってロボットに食事を準備させる「兵営食堂」を世界で初めて韓国に設置し、試験運用を開始した。
【写真】ロボット炊事兵が働く様子
11月12日に大邱広域市内の在韓米軍基地「キャンプ・ウォーカー」内にオープンした「マーケット19」がそれだ。キャンプ・ウォーカーを拠点とする米第19遠征支援司令部が運営するこの食堂はまず6カ月間ロボットを使い、兵士らの反応や運用状況を見てその後の使用や他国の米軍基地に拡大するかなどを決めるという。また新たな建物は新築せず従来の食堂施設にコーナーを設置する形態とした。試験運用ではあるが、この種の食堂がオープンすること自体が、無人ロボットの活動領域が軍事分野に深く根を下ろしたと受け止められている。
米陸軍も先日ホームページで「マーケット19」について詳しく紹介した。米軍SNS(交流サイト)に紹介された「マーケット19」は、都心のど真ん中にオープンした店のサラダバーのようだった。兵士たちがタッチパネル上でメニューを選べば、ガラスの向こう側の厨房(ちゅうぼう)でロボットアームが忙しそうに材料を準備し調理を行った。食券もQRコードだ。在韓米軍の食堂らしくビビンバやキムチポックムパプ(キムチチャーハン)、プデチゲ(キムチやランチョンミートが入っている辛い鍋料理)などのKフード(韓国料理)もメニューに含まれていた。
プデチゲは米軍が6・25戦争(韓国戦争)に参戦しなければ韓国に存在しなかった歴史的な意味のある料理だ。またビビンバやキムチポックムパプは米軍兵士にとってもハードルが低く気軽に食べられるKフードだ。この無人のデジタル食堂について第19遠征支援司令部のリバー・ミチェル准尉は「今回の試験運用では兵営食堂をより効率的・持続的かつ回復弾力性のある形で運営しているが、まずは自動無人システムの利点について評価したい」とコメントした。
部隊の関係者によると、今回の試験運用は今年5月から企画されたが、その後韓国側や業者との連携もスムーズに行われたとしてすでに好評価を得ているという。米軍が戦闘分野ではなく兵士の給養(食事の準備)にまで最先端の無人ロボット技術を使ったことも「戦闘準備態勢の一環」と見なされている。今後最先端ロボット技術を使った「ロボット炊事兵」が完成すれば、いかなる環境でも兵士たちにとって戦闘の準備にプラスになるからだ。また世界の多くの国と同様に問題となっている恒常的な兵員不足の解決策にもなるだろう。
ロボットが炊事を担当する兵営食堂の試験運用が成功し、今後米軍の全ての部隊に広がった場合、長期的には人間の炊事兵に取って代わる可能性も浮上しそうだ。しかし米軍は「人間の炊事兵の重要性は変わらない」としている。炊事兵は無人ロボットが注文通りスムーズに調理するか細かく管理・監督を行うのはもちろん、栄養価の高いメニューの開発といった任務も担当するからだ。そのためAIが給養監督官や炊事兵に完全に代わることはなさそうだ。
鄭智燮(チョン・ジソプ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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