▲11月20日午後6時24分、ソウルの水西駅を出発し、釜山駅まで向かうSRTで乗務員(中央)が乗客の乗車券を確認している。
11月14日午後6時24分、水西発釜山行きSRT359号。乗務員が通路に立っていた10人の乗客の乗車券を確認し始めると、まずは30代の男性が近づいてきて「東大邱まで行くのに、切符が手に入らなくて」と言ってきた。当時、車内は車両間通路まで乗客でごった返していた。乗務員がもともとの乗車券の2倍に相当する7万3600ウォン(約7800円、運賃+追加金)を受け取って立席券を発券すると、隣にいた乗客たちも..
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▲11月20日午後6時24分、ソウルの水西駅を出発し、釜山駅まで向かうSRTで乗務員(中央)が乗客の乗車券を確認している。
11月14日午後6時24分、水西発釜山行きSRT359号。乗務員が通路に立っていた10人の乗客の乗車券を確認し始めると、まずは30代の男性が近づいてきて「東大邱まで行くのに、切符が手に入らなくて」と言ってきた。当時、車内は車両間通路まで乗客でごった返していた。乗務員がもともとの乗車券の2倍に相当する7万3600ウォン(約7800円、運賃+追加金)を受け取って立席券を発券すると、隣にいた乗客たちも待ってましたと言わんばかりに財布を取り出し始めた。50代の会社員のイさんは「2日間、前売り乗車券を購入しようとSRTのアプリに何度もアクセスしたものの、乗車券は手に入らなかった」とし「家(釜山駅)には帰らなければならないため、お金をもっと上乗せする覚悟でひとまず乗車した」と理由を語った。
【グラフィック】年度別のKTX・SRTの不正乗車件数と事例
記者が水西駅から五松駅まで移動する間の約1時間、このように立席券を発券した乗客だけでもざっと30人に上った。反対側の上り列車も状況は同じようなものだった。同日午後5時40分、釜山駅を出発した水西行きSRT358号は、切符なしで搭乗した「不正乗車客」が46人にも上った。
KTXやSRTなどの高速列車の乗車券がなかなか手に入らないことから、乗車券なしで「ひとまず乗車する」不正乗車が歴代最多水準に上っている。特に平日の通勤時間帯と金曜日の下り線、月曜日の上り線は「不正乗車との闘い」が繰り広げられている。
11月23日、本紙の取材と「共に民主党」のアン・テジュン議員室から入手した資料によると、KORAIL(KTX運営会社)とSR(SRT運営会社)の不正乗車摘発件数は昨年52万6900件と、歴代最多となった。今年に入って10月までに、すでに44万3700件が摘発され、1日平均では1460件に上っている。これは昨年の1日平均(1440件)を上回っている。これに先立ち、SRTが本格的に運行を開始した2017年、KORAILとSRによる不正乗車摘発件数は23万4200件(1日平均642件)だった。コロナ禍では18万9200件(1日平均581件)まで減ったものの、その後再び増加基調を維持している。
不正乗車の手口もさまざまだ。11月20日午後2時33分、ソウル駅を出発した浦項行きのKTXでは、乗務員に対して「自主的に申し出たので、立席券を少し安くしてほしい」と交渉する乗客も現れた。このほかにも、トイレに隠れていたのが見つかって「突然おなかが痛くなって言い出せなかった」という「言い訳型」、「座席が足りないのは鉄道運営会社の過ちなので運賃は払えない」という「盗っ人たけだけしい型」、他の時間帯の乗車券を購入して列車を間違えたふりをする「演技型」などの乗客がいるという。
乗車券なしで搭乗した場合、基本運賃と追加金(運賃の100%該当)を支払い、立席券を発券しなければならない。追加金は本来運賃の50%と定められていたが、不正乗車がなかなか減らないため、10月から運賃の100%にまで引き上げられたのだ。
しかし、これは不正乗車を減らす根本的な解決策ではないと批判する声も少なくない。「乗車券不足」の最も大きな理由が、公共機関の地方移転、地方青年層の首都圏移動、外国人観光客の増加などの影響で急増した列車需要に合わせてダイヤを増やせなかったことにあるためだ。KORAIL、SRの年間乗客数は2017年の1億4730万人から昨年は1億7149万人へと16%増えたものの、同期間高速列車は8%増えるにとどまっている。
特に京釜線と湖南線が共に線路を共有する「平沢駅から五松駅」までの区間が飽和状態となっているのが最も大きな原因だ。現在、同区間は5分間隔で列車が通過するほど飽和している。新しい列車を用意したとしても、追加で投入するのは困難な状況だ。現在同区間に対する追加の線路工事を進行中だが、完工は2028年の予定だ。それだけに、別途の短期的対策づくりが急がれると指摘する声は今もやまない。韓国交通研究院のキム・ギョンテク副研究委員は「列車利用が少ない時間帯の運賃割引を拡大して乗客を分散するほか、キャンセルした場合の違約金を引き上げることで、乗る予定のない列車をひとまず予約しておく『仮予約』を減らすようにすることが先決」と説明する。
ユン・サンジン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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