▲イラスト=UTOIMAGE
中国がしばしばレアアース(希土類)を政治的なカードとして活用していることに対し、韓国でも懸念が高まっている。中国がレアアースの武器化に最初に乗り出した2010年から15年が過ぎたが、韓国の中国産レアアースへの依存度は高いままで、資源安全保障対策を再点検すべきとの声が上がっている。
外国メディアによると、中国は最近、日本企業に対するレアアース輸出許可手続きを通常より遅らせている。高市早苗首相が台湾..
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中国がしばしばレアアース(希土類)を政治的なカードとして活用していることに対し、韓国でも懸念が高まっている。中国がレアアースの武器化に最初に乗り出した2010年から15年が過ぎたが、韓国の中国産レアアースへの依存度は高いままで、資源安全保障対策を再点検すべきとの声が上がっている。
外国メディアによると、中国は最近、日本企業に対するレアアース輸出許可手続きを通常より遅らせている。高市早苗首相が台湾有事の際、日本による軍事的介入があり得ることを示唆し、両国の緊張が高まったことが背景に挙げられる。
両国は2010年にもレアアースをめぐって対立している。同年9月、尖閣諸島(中国名・釣魚島)で領有権紛争がエスカレートしたことがきっかけだった。当時、日本は尖閣諸島沖の漁船衝突事件で中国人船長を拘束した。中国はそれにレアアースの輸出禁止で対抗し、日本は中国人船長を解放した。
中国は同年10月、米貿易代表部(USTR)が中国のグリーン産業に対する補助金問題を調査すると表明すると、米国に対するレアアースの輸出も中断した。その影響で、国際市場でレアアースの価格は最大9倍にも高騰した。
中国は今年に入り、レアアースを米国に対する戦略兵器として扱っている。第2次トランプ政権が中国に高率の相互関税を適用すると、中国は4月に7種類のレアアースとそれを含む磁石製品に対する輸出制限措置を実施し、報復に乗り出した。
トランプ米大統領は直ちに中国の習近平国家主席と電話会談を行い、米中は高官級交渉に臨んだ。結局中国は10月30日に釜山・金海空港で行われた米中首脳会談での合意に基づき、レアアースに対する対米輸出規制措置を来年11月10日まで1年間猶予することを決めた。
しかし、中国の立場がいつ変わるかは分からない。トランプ大統領が11月にオーストラリアのアルバニージー首相と首脳会談を行い、重要鉱物とレアアースの安定的なサプライチェーン(供給網)を確保するため、米豪間の枠組み合意に署名するなど、レアアースのサプライチェーン多角化を目指しているのはそのためだ。
中国は欧州連合(EU)とも対立している。中国は10月9日に発表した域外輸出制限措置でサマリウム、ジスプロシウムなどのレアアースを輸出規制対象に追加した。海外で生産された製品であっても中国産レアアースが0.1%でも含まれているか、中国の精製・加工技術を利用している場合、中国政府から輸出許可を得ることを義務づけるなどレアアース輸出規制を強化している。
これに対し、フランスのマクロン大統領は「EU加盟国が貿易不均衡の改善を体感できなければ、中国製品に対する新しい関税を検討するしかない」と述べ、強硬な態度を見せた。
中国が初めてレアアースを武器として活用したとされている2010年に日本と衝突した際、韓国でもレアアースの対中依存を軽減すべきだという声が出た。レアアースは「産業のビタミン」と呼ばれるほど主要産業に必須の素材だ。全世界のサプライチェーンは中国が握っている。
国際エネルギー機関(IEA)が10月に公表した報告書によると、中国は全世界のレアアース採掘量の59%を占める。レアアース精製能力は全世界の91%に達する。レアアース17種類のうち、ネオジムとジスプロシウムを使用する永久磁石の生産シェアは94%だ。永久磁石は同じ重さの鉄磁石より最大15倍の磁力を持ち、電気自動車(EV)のモーター、風力発電機タービン、ロボット、ドローンなどに使われる。
日本は2010年以降、レアアースの対中依存度を下げるため、海外での採掘権確保、リサイクル推進、代替素材開発、国家備蓄という4方面のレアアース確保戦略を立てた。日本はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を中心に海外でのレアアース開発に積極的に投資した。
JOGMECはレアアース鉱山を保有している世界2位のレアアース生産企業、豪ライナスに2023年に2億豪ドル(約207億円)を投資し、レアアース供給契約を締結した。今年3月にはフランスのカレスターに1億ユーロ(約183億円)を投資し、高性能磁石に欠かせないレアアースを確保した。
また、日本の産業界は政府主導でレアアースの使用量を削減したり、他の素材で代替したりする技術開発に乗り出した。トヨタ自動車はEVモーターに欠かせないネオジムの使用量が以前の半分で済む新型磁石を開発した。信越化学工業は、高性能磁石に使われる中国産レアアースを従来の3分の1に減らす技術の開発に成功した。その結果、日本の中国産レアアースへの依存度は業界の推定で中国とのレアアース戦争当時の2010年90%以上から現在は60~70%に低下した。
一方、韓国の2024年時点の中国産レアアースに対する輸入依存度は79.8%で、日本より高い。永久磁石は中国産が90%に達する。韓国政府も23年、重要鉱物確保戦略を立て、供給先の多角化、海外鉱物資源開発、備蓄拡大などに乗り出した。しかし、特定国への依存度の高い品目を180日以上備蓄するという目標以外にはこれといった成果を出せずにいる。
政府主導の海外鉱物開発は行われていない。 李明博(イ・ミョンバク)政権当時、国家レベルで資源確保への取り組みを開始した韓国鉱物資源公社が資源開発に直接投資したものの、債務超過状態に陥った影響だ。その後、同公社は財務健全性が高い韓国鉱害管理公団に統合された。
漢陽大資源環境工学科のキム・ジンス教授は「レアアースなど重要鉱物を備蓄する政策以外には財政支援が特にない状況だ。中国産レアアースと関連製品が安いため、他の方策を探す経済的誘因は小さい」と述べた。キム教授はまた、「日本のように政権の変遷と関係なく、資源確保政策が推進され、企業が鉱物のサプライチェーンを多角化するよう促す対策が必要だ」とも指摘した。
チョン・ミハ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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