▲2023年6月17日午後、仁川市内の富平駅北広場で行われた「福島原発汚染水放出に対する仁川抗議大会」で発言する李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表=当時=。
1月28日に行われた韓国国会外交統一委員会の会議で、趙顕(チョ・ヒョン)外交長官の答弁を聞いて当惑した。質問は金碩基(キム・ソッキ)委員長がした。2023年の福島原発処理水放出時、当時共に民主党代表だった李在明(イ・ジェミョン)大統領は処理水を「毒物」と呼んでいた。その李大統領が先日の訪日で、日本産水産物の輸入再開の意向を示したという。日本の処理水放出は現在も行われており、何も変わっていないのに..
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▲2023年6月17日午後、仁川市内の富平駅北広場で行われた「福島原発汚染水放出に対する仁川抗議大会」で発言する李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表=当時=。
1月28日に行われた韓国国会外交統一委員会の会議で、趙顕(チョ・ヒョン)外交長官の答弁を聞いて当惑した。質問は金碩基(キム・ソッキ)委員長がした。2023年の福島原発処理水放出時、当時共に民主党代表だった李在明(イ・ジェミョン)大統領は処理水を「毒物」と呼んでいた。その李大統領が先日の訪日で、日本産水産物の輸入再開の意向を示したという。日本の処理水放出は現在も行われており、何も変わっていないのに、なぜ「毒物」を「輸入再開」するという劇的な逆転が起こったのか、説明してほしいというものだった。
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趙顕長官の回答は奇妙だった。「以前はモニタリング・システムが整っていなかったが、今はしっかりとモニタリングしているため、状況が異なる」というのだ。だが、これは事実ではない。当時も現在も韓国原子力安全技術院で徹底的にモニタリングを行っており、韓国原子力安全委員会でも毎日ブリーフィングをしている。趙顕長官は「処理水放出は当時の最善の代案ではなかったが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が日本に堂々と要求できなかったため、尹政権の覚醒を促したものだった」と述べた。これはつじつまが合わない主張だ。趙顕長官の主張通りなら、李大統領は日本に行って放出方式を最善のものに改善するよう要求すべきだが、なぜ突然、日本産水産物を輸入再開することにしたのだろうか?
そもそもこの問題を国内政治に利用したこと自体が失策だった。その理由は五つある。
第一に、科学的根拠がないからだ。2023年に既に韓国国内はもちろん、世界的にもほとんどの専門家たちが「放出が人体に与える影響は微々たるものだ」と言っていた。筆者が当時、カナダ・米国・ニュージーランド・オーストラリアなど、韓国よりも処理水が先に到達する国々で海洋安全を担当する政府機関のホームページを調べた結果、すべて「健康に害はない」と書かれていた。
第二に、李在明政権は自己矛盾に陥っているからだ。処理水が「毒物」であるならば、李大統領は就任してすぐに日本観光を禁止すべきだった。福島は年間約3000億円相当の農水産物を生産している。これらの農水産物の一部は、日本を訪れる数百万人の韓国人の胃袋に入っている。韓国人の体に「毒物」が入っているのに、李在明政権はなぜこれを放置しているのだろうか? さらに、東海(日本名:日本海)で操業している韓国漁船は約5000-6000隻で、太平洋で操業中の韓国の遠洋漁船は約200隻だ。韓国政府はなぜこれらの漁船に操業禁止を命じないのだろうか? 日本人が捕った魚は危険だと言って輸入禁止にしておきながら、同じ海で操業する韓国の漁師が捕った魚からは魔法のように放射能が自然に除去されるということだろうか?
第三に、国際社会の常識に反するからだ。2011年の福島原発事故後、世界各国が日本産水産物の輸入規制を行ったが、現在ではほぼすべて規制を撤廃している。現在、日本産水産物の輸入規制を行っている国は中国、ロシア、そして韓国だけだ。韓国は福島産農産物も輸入禁止にしているが、福島県の農産物輸出は急増している。2011年の原発事故直後に90%減少した農産物輸出は、2017年から急増(213トン)に転じ、事故発生前の2010年の水準(153トン)を突破した。そして、2024年には898トンを輸出して、なんと前年(453トン)の約2倍にまで伸びている。世界中で福島産農水産物を積極的に輸入しているのに、中国・ロシア・韓国だけが禁止しているのだ。
第四に、李大統領の「毒物」発言は、日本が民主国家であることを無視した行為だったからだ。日本は処理水を釜山沖で放出しているわけではない。自分たちの海で放出している。その水が「毒物」ならば、誰が最初に被害を受けるのだろうか? 民主国家の政府が自国民の健康に害を及ぼす行動をこのように公然と行えば、それは相手にする価値もない「失敗国家」だ。そのような「失敗国家」に行って首脳会談をした李大統領は何をしようとしていたのだろうか?
最後に、「毒物」発言は日本人の胸の傷口に塩を塗り込むようなものだったからだ。福島は日本で最も深刻な被災地だ。どの国でも被災地に対して国民たちは胸を痛めるものだ。今でも毎年3月になると日本では東日本大震災のドキュメンタリー番組が放送され、それを見て涙する日本人も多い。ところが、李大統領は「毒物」などと過激な発言をした。他人の傷口に塩を塗り込んでおきながら、今になって一言も説明せずに「我々も君たちの農水産物を少し食べてみようか」などと言うのは厚かましいのではないだろうか?
趙顕長官は、李大統領の発言について、裏を返せば「大統領として実用的な外交を実践するということだ」と言った。よくぞ言った。そう言うなら、李大統領が過去に発した「国内政治用」の過激な発言にしがみついて青瓦台(大統領府)の顔色をうかがい、ありもしない健康上の危険性や針小棒大な誇張にきゅうきゅうとするのではなく、長官としての政務感覚を発揮し、李大統領の過去の過激な発言から脱却する出口戦略を模索すべきではなかったか。安圭佰(アン・ギュベク)国防長官が日本に行き、小泉進次郎防衛大臣と卓球をしている姿を見ただろう。かつて火器管制レーダー照射まで取り沙汰された韓日両国の軍隊は、今や韓国空軍の特殊飛行チームが沖縄に寄り、中間給油を受ける関係にまでなった。
趙顕長官に、小泉防衛大臣が以前言ったように福島沖に行ってサーフィンでもしろという話ではない。外交長官として日本に行く機会があれば、福島にも立ち寄って刺身の一皿でも召し上がってみてはいかがだろうか、ということだ。共に民主党の党員生活もかなり長くなさっている趙顕長官にとって、それぐらいの政治感覚は期待してもいいのではないだろうか。
張富丞(チャン・ブスン)関西外国語大学外国語学部教授
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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