▲イラスト=UTOIMAGE
「このAI(人工知能)時代になぜ人を採用する?」。つい先日、通りを歩いていると誰かが電話でこんな話をしていた。AIが仕事を奪うという懸念と、全てがAIに代わるという期待が入り交じった言葉だ。実際にAIは文書の作成、データ分析、さらには創作に至るまで非常に多くの仕事をこなしている。
【写真】まるで人間のよう…AI人型ロボット「ソフィア」
しかし政治の世界は違う。価値観の衝突を調整し、利害関係の接点を..
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▲イラスト=UTOIMAGE
「このAI(人工知能)時代になぜ人を採用する?」。つい先日、通りを歩いていると誰かが電話でこんな話をしていた。AIが仕事を奪うという懸念と、全てがAIに代わるという期待が入り交じった言葉だ。実際にAIは文書の作成、データ分析、さらには創作に至るまで非常に多くの仕事をこなしている。
【写真】まるで人間のよう…AI人型ロボット「ソフィア」
しかし政治の世界は違う。価値観の衝突を調整し、利害関係の接点を見いだす不完全な合意を形成しなければならない。「信頼」と「説得」はアルゴリズムで最適化できない。だからこそ以下のニュースに注目が集まった。
2月8日に投開票が行われた日本の衆議院議員選挙で結成からわずか9カ月の政党「チームみらい」が381万票を得て11議席を獲得した。東京大学工学部出身でAIエンジニアの安野貴博氏率いるこの政党の候補者は平均39.5歳、ほとんどが元ITエンジニアだった。AIを最もよく知るエンジニアたちがAIにはできない政治の世界に飛び込んだのだ。
壮大なスローガンなどない。彼らは生活に密着した公約を掲げ、ポピュリズムを嫌った。他の政党はどこも減税を主張したが、彼らは「消費税10%維持」を明言した上で「無差別の減税は将来の世代に借金を押し付ける」と訴えた。安野氏は政治を「権力闘争」ではなく「システム設計」と見なした。彼の遊説原則は単純で「分裂をあおって票を得る政治はしません」ということだ。
視線を変えて韓国の政治を見てみよう。韓国の政治の世界では庶民生活は後回しで、前大統領との断絶、大統領と党代表の権力闘争、歴史清算などが先に来る。政策対決ではなく怒りの競争、将来設計よりも陣営の結束が優先される。有権者は「少しましな政党」を選ぶしかなく、政治に対する期待そのものが失われつつある。
重要なことはAI専門家が政治に飛び込んだ事実ではなく彼らの思考だ。「誰の側か」ではなく「何を動かすか」を問う姿勢、かつての敵を逮捕し出頭させるのではなく、未来のシステムを考える姿勢だ。エンジニアはバグを発見すれば原因を分析しコードを見直すが、責任を追及して争うことに時間を浪費しない。「システムが動かないなら修正すればよい」という姿勢こそが必要だ。
政治を変える主体は政治家ではなく有権者だ。既成政党に嫌気がさした日本の若い有権者は「チームみらい」に票を入れた。チームみらいは諦めではなく自ら選択肢を提示した。韓国の若い世代も同じだ。政治が変わるのを求めるよりも、変える政治家を育て、必要なら自ら政治に飛び込んでいかねばならない。
政治はAIにはできない人間の仕事だ。しかしAI時代の考え方は古い政治を変える力がある。感情ではなくデータ、スローガンではなく解決策、敵をつくるのではなく問題を明確にする政治。「分裂をあおって票を得る政治はしません」という言葉が実際の投票行動につながる世界。そんな政治を見てみたいものだ。
アン・ジュンヒョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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