【コラム】「カナダグース」ブームに見る韓国人の虚栄心

 経済力が伴うことで望みの商品を手に入れるのは、もちろん個人の自由だろう。さらにファッションという分野は、もともと用途という概念を必要とはしていない。しかし、海外ブランドの高級ジャンパーをこぞって購入する現象に「誇示的消費」や「模倣心理」がはびこっていると指摘する声は多い。消費心理学を研究する建国大学経営学部ポム・サンギュ教授は、高級ジャンパーブームについて「自分よりも社会的、経済的に進んでいる集団に見下されないように、これらに追従しようとする『模倣心理』が反映されたものだ。上流層ではないが、上流層に仲間入りしたいと思う人々が商品を通じて同類意識を感じようとする心理を、企業が高級化戦略を通じて巧みに利用している」と分析する。一部のアパレルメーカーは、すでに流行が普遍化した製品から脱して新たなブランドを探すなど、「アーリーアダプター(流行に敏感で情報収集を自ら行い判断する人)」になりたがっている消費者の虚栄心に焦点を合わせる。「差別化」を理由に、必要もない高機能を付け加えることで値段をつり上げ、利益を得ているのだ。

 今冬、突然韓国を襲った高級ジャンパーブームは、個性や感性を表現するためではなく、虚栄心や自己顕示欲を満たすために消費するといった事実を証明しているようで何だか後味が悪い。高価な商品を買わないと子どもの自尊心を傷つけると信じ込み、流行の高いジャンパーなら子ども用であっても買うことを誇らしいと感じる大人がいる限り、自尊心というものが外見から出てくるものではなく内面に起因するといった事実を子どもたちに悟らせるのは、そう簡単ではなさそうだ。

李衛栽(イ・ウィジェ)産業1部次長
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