世代交代の必要性も強く感じた。日本は2020年の東京オリンピックで野球が正式種目に復帰することを見据え、今大会は若手を多く起用した。これに対して韓国は今回活躍した選手の多くは08年の北京オリンピックのメンバーで、4年後も現役として活躍できるか不透明な選手ばかりだ。また将来を見据えて代表チームの「侍ジャパン」に若い専任監督を置いている日本とは違い、韓国は大会が行われるたびに監督選びに苦労する。今回韓国代表の指揮を取った金寅植監督はプロ野球チームの監督ではなく、その仕事は韓国野球委員会(KBO)の技術委員長だ。プロ野球チームのどの監督も今大会の監督就任を断ったため、金寅植監督はやむなく監督就任に応じたのだ。
国際大会では良い結果がその後マイナスに作用することもある。優勝の喜びに酔って長期のビジョンを持てず、若手の計画的な育成を怠ってきたかつての悪循環がまた繰り返される恐れもあるだろう。リトルリーグには将来のメジャー進出を期待される才能ある選手が多くいるが、その数は中学、高校と年齢が上がるに従って少しずつ減る。優れた才能を育てて開花させる仕組みが韓国にはないのだ。親たちは子供を支えるのが大変で、指導者は自らの地位を守るため目の前の成績ばかりを気にする。例えば高校チームの監督たちは大学やプロに送り出した高校生の数でその能力が評価されるという。しかもそのような中、スポーツ選手の大学入試で不正が行われるケースもたびたび報じられている。若く才能ある選手たちをプロに入ってから大きく伸ばすには、中学や高校の時から基礎体力や基本的な技術・能力をしっかりと身に付けさせなければならない。しかし目の前の結果が全てと考える指導者たちは、そのようなことには考えも及ばない。韓国野球界は今回素晴らしい結果を残した。しかしこれはいつ大きな波が打ち寄せるか分からない砂の上だ。固い岩の上に打ち立てられた勝利こそ長く持ちこたえるのだ。