この疑惑はさらに意外な方向へ進んで波紋を広げていった。安倍首相が先月、国会で、「(自身や昭恵夫人が)もし関わっていたら間違いなく、首相も国会議員も辞任するということをはっきり申し上げる」と爆弾発言をしたのだ。「辞任する」という部分は当初の予定になかったが、安倍首相がこれまでの政治的勝利に自信を持つあまり、とっさに過度な発言をしたのだろうと朝日新聞をはじめとする日本の各メディアは分析している。
安倍首相はまた、籠池理事長を指して「面倒な方」とも言ったが、同理事長はこの言葉に怒ったものと思われる。同理事長は安倍首相を支持する保守系民間団体「日本会議」の会員として活動しており、「安倍首相を尊敬する」とよく言っていたという。その安倍首相に否定されたことから、籠池理事長は「昭恵夫人は『安倍晋三からです』と寄付金100万円を出した」「国有地を安く買ったのも財務省の働きかけのおかげだ」とメディアに次々と暴露した。ロッキード事件など過去の汚職事件は通常、「カネをくれた人=業者、カネをもらった人=政治家」だが、今回の事件では正反対で「カネをくれて特別待遇もしてくれた人=政治家、カネを受け取った人=業者」という構図になった。安倍首相夫妻は「特別待遇したことも、寄付金を渡したこともない」としているが、籠池理事長は「いや、両方とももらった」と対抗する姿勢を見せている。
与党・自民党と首相官邸は昭恵夫人の証人喚問を阻止するため、支持率の推移を見守りながら「籠池理事長が証人喚問で偽証したかどうか見極めるべきだ」と反発している。しかし、首相官邸内でも「昭恵夫人は最終的には証人喚問に応じなければならないのでは」という声も上がっている、と日本経済新聞では報じている。