数年前、金融監督院の人事の季節にうわさが飛び交った。順調に出世していたA局長をめぐる「与党の実力者と6等親だから昇進順位が最上位だ」といううわさだ。A局長は「身内に聞いてみたら、13代前で分かれた28等親の続柄だと言っていた。28等親も親類と言えるのか」と反発した。それでもうわさは消えなかった。「知り合いだからそう言ううわさも出たのだろうし、そういう縁故があるから金融監督院院長が配慮してくれるのでは」というものだ。
公務員社会には「出世すると親類が増える」という笑い話がある。誰かが一定の地位に就けば、陰に陽にいいことがあるのではと近づいてくる人が増えることを皮肉った言葉だ。もちろん、それは公務員に限った話ではない。韓国の銀行が昨年の公募採用時、金融監督院の幹部・元頭取・病院理事長などの子や親類16人の名簿を作っていたことが分かった。この16人は85倍という競争率をくぐって就職が内定していた。カジノやリゾート施設を運営する江原ランドでは2012年後半からの1年間で採用した新入社員518人の95%(493人)が縁故採用だと暴露された。その数字の高さは衝撃的だ。当然の話だが、ほとんどが旧与党関係者からの依頼だったという。
韓国馬事会は今年に入って2404億ウォン(約240億円)をK銀行に集中的に預け入れていたことが明らかになった。これは全預金額7657億ウォン(約764億円)の3分の1に相当する。馬事会は「K銀行の金利が高いから預けただけだ」と言っているが、すっきりしない。「今年9月、K銀行の持株会社の会長に、政界につてのある人物が選任されたのと関係がある」という話もある。馬事会のK銀行への預金は2015年に715億ウォン(約71億円)だったが、昨年は540億ウォン(約54億円)と減少、そして今年4倍以上に増えた。