韓国ではその後、「韓国版MIT(マサチューセッツ工科大学)」を目指す大学がいくつかできた。KAIST、浦項工科大に続き、光州科学技術院(1995年)、蔚山科学技術院(2009年)、大邱慶北科学技術院(11年)が開校した。いずれも選挙公約によるものだった。現政権は「韓電工大」を設立すると言っている。世界のトップレベルのエネルギー専門大学にする構想だ。22年に開校を予定している。6月の地方選挙を控え、現在光州市と全羅南道では韓電工大の誘致合戦が熱を帯びている。
韓国電力は昨年10-12月期に1300億ウォンの赤字を出した。政府が脱原発を掲げ、原発の稼働率を大きく低下させたためだ。エネルギーに特化した大学になるためには、原子力工学科を設置しなければならないはずだ。しかし、韓国の原子力学界は昨年から意識喪失症にかかっている。過去40年にわたり必死の研究を行い、ようやく世界最高レベルに達したにもかかわらず、急に「なくすべき学問」というレッテルを張られたからだ。こうした不合理と矛盾の中、新たな大学が誕生する。
全ての大学が「韓国版MIT」にはなれない。誰かが世界で争い、別の誰かが産業人材を着実に育成すればよい。誰もが国家代表になると言いだした瞬間、国の高等教育は堕落し、個人も不幸になる。選挙で「韓国版MIT」というスローガンはもうたくさんだ。学齢人口30万人の時代に大学は有り余っている。時には合併・統合してこそ、外の世界と競争できる底力を養うことができる。