【コラム】超高齢化社会に耐える日本の力

 羽田空港の国内線ゲートの前には、普通の空港のように数十脚の椅子が置いてある。ここの椅子の背もたれには、ところどころで黄色いカバーが掛けてある。高齢者や妊産婦のための座席、という表示だ。高齢者席を一方にまとめて配置するのではなく、一般席と自然に交ぜてあった。孤立や隔離といった印象を取り除いているのだ。

 世代交流を生活空間に植え付けようという努力もしている。日本政府は乳児・高齢者一体事業として、保育園・幼稚園を高齢者の居住施設と並べて建てるようにし、予算支援を行った。折り紙、粘土遊び、草花の世話など、実のところ幼児と高齢者どちらにも必要な遊びというのは多い。これを一緒に楽しむことで、どちらの方に良いことなのか分からないほど調和が取れる形になっている。高齢者が忙しい両親に代わって幼児の世話をするプログラムも運営している。

 高齢化先進国は街の遊び場を、おじいちゃん・おばあちゃんも一緒に行ける空間へと作り変えている。ここに、小さな子どもと高齢者どちらにも必要なバランス感覚を養う細道の歩行施設や、足腰の筋力を鍛える運動設備を置いている。小学生に骨粗しょう症について教えて、なぜ高齢者席が必要なのかを理解させ、高齢者が絵本を生き生きと読み聞かせるという世代交流の授業も行っている。

 このところ30歳を過ぎて子ども生んでいることから、1世代のタイムスパンは30年にまで伸びた。いささか根深い被害意識と頑固な権威意識が出くわすと、大きな衝突が引き起こされかねない。資産を握っている高齢者層が孤立と断絶の中にとどまったら、経済活動は大幅に低下する。高齢者の疎外は身体機能や認知能力を低下させ、、医療費負担をさらに増やす羽目になる。

 日本は高齢者の人口比率が高いとは言うが、日本に来てみると、本当に高齢者が多いと肌で感じる。それだけ高齢者が世の中で活発に動き回っている、という意味でもある。これが、日本が超高齢化社会に耐える力を生んでいるのではと思う。今こそ、世代間の交流と高齢化への親和で、誰にとっても良き世の中をつくっていくべきだ。

東京=金哲中(キム・チョルジュン)医学専門記者

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