【コラム】拡散する盗撮被害、恥ずかしい韓国社会の現実

 人々で混み合う出勤時間でのことだ。ソウル市のある地下鉄駅のエスカレーターで、スカートをはいていたある女性が自分より2段下から片足を上げ、膝の上にスマートフォンを載せた状態で撮影していた男を尾行し、捕まえた。犯行を否認していたこの男は、押収されたスマートフォンでひそかに撮影された女性たちのスカート内の証拠映像を見せられ、「今回だけは見逃してもらいたい」と、ようやく容疑を認め、謝罪し始めた。地下鉄で多発する盗撮犯罪の現場での様子だ。

 盗撮犯罪を捜査している警察官は、通報される盗撮犯罪の大多数はスマートフォンによるものだ、と説明する。最近ユーチューブには、一部の小学生が母親のプライベートな姿までをスマートフォンでひそかに撮影し、ネット上にアップする「ママの盗撮」や青少年による「先生の盗撮」まで登場している。

 では、なぜ盗撮動画を見たがるのか。盗撮動画を見た人々は「隠されているものをのぞき見ることから来る快感を味わうため」「気になっているものを盗み見るという好奇心」「着飾っていない本当の姿を見ることで、ポルノの代わりになる」と回答する。不法でさえなければ、引き続き見ていたいとまで話す。結局、盗撮動画を見ることで感じるスリルや好奇心を満たそうという程度の動機なのだ。

 一方、被害者たちにとって盗撮は死ぬほど苦しい経験となる。海外にサーバーを置くアダルトサイトでは、撮影されアップされた盗撮動画が販売されている。被害者たちは、専門業者に数十万円を支払って動画の削除を依頼するものの、ネット空間でデジタル化された動画の痕跡を消去するのは容易でない。

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