今回の判決で韓国政府は、大きな荷物を背負うことになった。13年にソウル高裁は差し戻し審で「損害賠償請求権に対する大韓民国の外交的保護権は(請求権協定で)放棄されなかった」と判示した。大法院は30日、この判決文を確定させた。今後、韓国政府は賠償請求権を持つ韓国国民に代わって日本政府に対し外交的保護権を行使しなければならない。植民地の違法行為に対する賠償を要求しなければならない、ということだ。これを怠った場合、再び違憲判決を受けかねない。盧武鉉政権は05年に元慰安婦の賠償権を認めておきながら、これに関する外交的保護権の行使を怠り、被害者が憲法訴願を起こしたことがある。憲法裁判所は、これについて「行政の不作為」(当然なすべきなのにあえてやらないこと)による違憲と判断した。朴槿恵(パク・クンへ)政権の「慰安婦合意」につながる歴史対立と波紋の始まりだった。
シン・ガクス元駐日大使は「請求権協定と衝突する判決が出た以上、日本は韓日の国交の根本体制が崩れたとして強く反発するだろう。だからといって韓国政府は大法院の判断に逆らうことはできず、選択の幅が狭まった状況」と語った。
■1965年韓日請求権協定とは
韓国と日本が国交正常化と戦後補償を議論し、1965年6月22日に調印した国際条約。サンフランシスコ講和条約の後続措置として、51年から65年まで14年にわたり交渉を行った。日本は韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの供与・貸し付けを行い、韓国は日本に対する全ての請求権が完全かつ最終的に解決したと宣言した。