【コラム】老舗冷麺店を守るソウルの都市再開発は正しいのか

 そんな遺産を放置して、「飲食店を守るべきだ」という論理だけが「興行」に成功するのが韓国社会だ。没落した工具店を訪ねる人は少ないが、飲食店は今も連日大繁盛なので、再開発事業を急ぐ理由も、再開発を必ず成功させなければならない理由もないというのだ。これでは飲食店の「興行」に頼って、カネと票を狙う人々が押し寄せるばかりだ。

 しかし、徹底した大規模開発方式による都市再生は必ずしも悪いことではない。成長の限界に行き着いた世界各国の有力都市は再開発を通じ、新たな活路を見いだそうとしている。2000年代の「失われた20年」を克服するとして、「都市再生特別措置法」を制定した日本は、日本らしくない柔軟なアイデアに加え、皇居周辺の高度制限まで緩和する革新的な規制改革でスカイラインを変貌させる「東京ルネサンス」を推進している。

 都市をどのように開発していくかという青写真と都市の象徴、精神を生かす戦略、知恵があれば、韓国は世運地区を新たに生まれ変わらせることができるはずだ。超高層の本社を新築し、その前に140年前の創業当時の本社と同じ構造の低層の建物を建てて博物館にした三菱、建物内部が銀座の路地をイメージさせるGINZA SIXなどの事例からヒントを得ることができる。

 都市再開発は未来産業だ。その都市と国家の知的水準と品位、国の格までをも示す国家競争力の象徴だ。建築の精神と文化を欠き、金銭だけを追い求める浅はかさ、長期的な運営計画がない短期的な成功にばかりこだわる事業モデル、硬直した行政が都市再生を台無しにしている。その間に竜山、東大門などソウルを刷新することができたチャンスを逃してきた。ソウルは世界の都市との競争で遅れ続けている。

金徳翰(キム・ドクハン)産業1部長

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