「革新の伝道師」と呼ばれるハーバード大のクレイトン・クリステンセン教授は著書「繁栄のパラドクス」で韓国を成功事例として紹介している。サムスン、ポスコなど韓国企業が良い例として登場すると誇らしい。しかし、韓国の「奇跡」はK-POPなどを除けば、1990年代の話だ。クリステンセン教授は繁栄を「より多くの人々が経済、社会、政治的な幸福を増進させる過程」と定義する。そこには程遠いと感じる。
先月休暇で東京の空港に降り立つと、「ディス・ウェー・プリーズ」「ハブ・ア・ナイス・デー」といった具合に以前はあまり聞かなかった英語が聞こえてきた。東京五輪を控え、英語を練習する高齢者には活気があふれていた。米国は連日、時価総額数十兆ウォンのIT企業による株式上場のニュースで沸いている。韓国ではまだ導入さえできていないカーシェアリング関連の企業であるリフトやウーバーもそこに含まれていた。昨年米国で研修を共にした中国人の友人は数日前、電子メールを送ってきた。自分たちが開発したモニターに10分間で10万ドルの投資が集まり、韓国にも輸出することになったのだという。友人は中国で4日に1社のペースで誕生するユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の企業)を夢見る。韓国政府は外部要因が韓国経済低迷の主犯だというが、海外ではそれぞれが成長にまい進しているように思える。それに対し、韓国には何があるだろうか。
「2000年の力強い経済のために!再び飛躍しよう、コリア!」--。これは1997年の公共広告のフレーズだ。そんな闘争精神が懐かしい。成長率が急低下してもなお、大統領は「経済の基礎体力は強固だ」と話す。青瓦台は良い経済指標を周知する広報特別チームの設置するという。まるで90年代に韓国で流行した「沙悟浄シリーズ」のようにしらけたギャグだ。
キム・シンヨン経済部次長