次に、高宗は力がなければ国を守ることはできないという実力主義の原理を理解できなかった。改革の熱情はあったが、観念にとどまり、その意志も努力も弱かった。文政権の国政も富国強兵とは異なる方向へと向かっている。国力を高めることよりも経済を弱体化させ、軍事力を低下させる方向へと国政を導いている。現実ではなく理念にこだわり、縮小と文弱の道を歩んでいる。
第三に、高宗は既得権益を守るため、有能な人材の力を除去する自殺行為に及んだ。急進派、穏健派を問わず、開化派を殺害、追放し、富国強兵勢力の芽を摘んだ。人材がいなくなった朝鮮は売国奴の天下となり、自主的に改革を進める原動力を失った。現在展開される「積弊清算」も国家の人材競争力を損ねる自殺行為だ。貴重な人的資産を葬り去り、社会的地位を奪っている。いずれは国家的損失となって跳ね返ってくるはずだ。
ソウルの徳寿宮の裏門には、ロシア公使館につながる長さ120メートルの「高宗の道」が整備されている。高宗がロシア側に逃避した俄館播遷のルートの一部をソウル市が復元したものだ。「近代に向かう高宗の熱情」などと美辞麗句で表現されているが、その道は決して美化することはできない亡国の道だ。旧韓末にも似た激動の時代、文大統領が歩むべき道は「高宗の道」ではない。
朴正薫(パク・チョンフン)論説室長