北朝鮮の今回の挑発は、新型兵器と従来の放射砲戦力を「交ぜて撃った」ところにも意味がある。北朝鮮が、短距離ミサイルと従来の通常兵器を混合して攻撃してきた場合、韓米両軍当局の対応に混乱をもたらすこともあり得る。韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「北朝鮮は現在、同時多発攻撃や奇襲打撃が可能な新型放射砲を開発しているものとみられる」として「コロナの余波で韓米合同演習が中断しているだけに、挑発の正当性を『訓練』と装っている」と語った。
■親書を送っておいて南をたたく「かく乱作戦」
ひとまず、今回の挑発は北朝鮮が昨年から進めている新兵器システムの完成のプロセス、という分析が支配的だ。兵器開発と実戦配備の過程で必要な実験を続けている、というわけだ。この新型兵器が、射程距離からみて間違いなく韓国を狙っているという点は深刻な問題だ。
朴元坤(パク・ウォンゴン)韓東大学教授は「北朝鮮は『自衛的次元の通常訓練』と主張し続け、韓国政府に受け入れを迫っている」として「弾道ミサイル発射を日常化することで、国際社会の制裁を無力化している」と語った。こうした中、金正恩委員長は首脳間の親交を深める親書を送り、軍事挑発を正当化しようとしている。金泰宇(キム・テウ)元統一研究院長は「北朝鮮が、当初から韓国をターゲットにした兵器の開発で『甲チル』(優越的地位を利用した無理強い)をしているが、韓国政府はこれを無為に傍観している」と語った。