金正恩氏は2018年12月25日、トランプ大統領に送った親書の中で「Your excellency(閣下)」という表現を9回も使い「全世界が大きな関心を持って見守る中、美しく聖なる場所で閣下の手を固く握ったその歴史的瞬間(2018年6月のシンガポール米朝首脳会談)を今も忘れられない」と伝えた。その一方で2回目の米朝首脳会談について「ファンタジー映画の一つのシーンを連想させる私と閣下とのまた新たな歴史的出会いを、さほど遠くない未来に全世界が再び目にすることになるだろう」とした上で、トランプ大統領に「偉大な決断力と素晴らしいリーダーシップ」を見せてほしいと訴えた。
金正恩氏は2019年2月、ベトナムのハノイで行われた2回目の米朝首脳会談に続き、同年6月に送った親書では「数日後に近づいたあなたの誕生日(6月14日)をお祝いするため、この手紙を書いている」「103日前にハノイで分かち合った瞬間瞬間は、貴重な思い出として残る栄光の瞬間」と表現した。さらに「私は私たちの間の深くて特別な友情が魔法の力で作用すると信じている」とも伝えた。
ハノイ首脳会談でトランプ大統領は何の合意もないまま会場を後にしたため、金正恩氏は「手ぶら」で戻るという屈辱を味わったが、トランプ大統領に送った親書では「栄光の瞬間」というお世辞を使っていたのだ。金正恩氏はトランプ大統領に「閣下を尊敬する思いは絶対に変わらないだろう」とも書いた。この親書には「閣下」という表現が7回登場した。