政府はこれまで、堕胎罪の処罰条項を削除するのか、それとも堕胎罪は維持しながらも特定の妊娠期間を過ぎた後の中絶を処罰するのかについて議論してきた。政府の関係者は「14週という『週数基準』に基づいて中絶を認めることにした今回の法案は、一種の折衷案」だとして「ひそかに行われている中絶を一部合法化し、女性の自己決定権を尊重しながらも、胎児の生命権も保護しようという趣旨」と説明した。保健福祉部の「人工妊娠中絶手術の実態調査」(2018)によると、韓国の人工妊娠中絶実施率は、妊娠可能期の女性1000人当たり15.8件だった。これは経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で3番目に高い。
政府案について、「堕胎罪の全面廃止」を主張してきた複数の女性団体は反発ムードだ。「みんなのための堕胎罪廃止共同行動」のナ・ヨン共同執行委員長は「国際機構も(中絶)規制条項の廃止を要求・勧告しているのに、韓国政府が刑法の維持を選択したこと自体が後退だ」と指摘した。一方、宗教界は「事実上の中絶全面許容」だとして反対している。堕胎反対運動連合のチェ・ジョンユン事務処長は「中絶を認める期間を妊娠14週までと定めたのは全面許容と考えなければならない」と述べた。産婦人科医師会のキム・ドンソク会長は「中絶の相談をしているうちに中絶期限を過ぎてしまった場合など、例外的な部分に対する補完が必要だが、医療界の意見はまだ十分にはまとまっていない」と述べた。政府の関係者は「立法予告案をベースに国会で追加の議論が行われるだろう」と説明した。
米国の場合、州政府ごとに妊娠12-24週の間で中絶を認めている。アジアでは日本が1948年から中絶を認めている。通常は中絶手術の指定病院で手術を受け、該当の病院は手術を政府に報告しなければならない。ドイツ、デンマーク、イタリア、スペインなどは妊娠12週まで中絶を認めている。