「586世代は彼らが殺した父親よりもっと悪い父親になった」

「586世代は彼らが殺した父親よりもっと悪い父親になった」

【新刊】陳重権著『進歩はどのように没落するか』(千年の想像刊)


 「私は戦う相手を憎んではいない/守る者たちを愛してはいない」


 これはイエーツの詩「アイルランドの飛行士は死を予知する」の一節だ。陳重権(チン・ジュングォン)元東洋大学教授は序文で「論客はラッパ手ではなく、見る者にならねばならない」とし、この一文を引用した。自分を「極右論客」と呼ぶ与党支持者らと一線を画する。「一方の非難が私を悲しませることも、他方の歓呼が私を喜ばせもしない」とし「ひたすら双方とも真情だと言い張るとき、一人で立ち上がり『否』と言う人間が一人くらいはいるべきだという信念で耐えるのみ」とつづった。

■腐敗認識指数1位はデンマーク&NZ、韓国は39位、日本は?

 陳・元教授は「チョ・グク問題で進歩は破局を迎えた」と主張し、既得権と化して腐敗した586世代(現在50代で1980年代に大学へ通った60年代生まれの世代)を事細かに批判する。「彼らはこうして、変えるものより守るものの方が多い保守層になった。そして彼らが殺したあしき父親より、もっと悪い父親になった。産業化世代は、死しても彼らに仕事を与えてやり、マンションも1棟持たせてやった。だが586世代は、今の若い世代に仕事もマンションも与えない。ひたすら自分の子どもらに財産と学閥を譲り渡そうと、その黒いコネクションを活用し、ほかの若者から『公正』に競争する機会すら奪ってしまう」(273ページ)

 論理はストレートだが、美学研究者らしい人文学的素養が随所に現れている。自分たちが依然「独裁政権の子孫と戦う正しくて純潔の闘士」だと想像している民主党586世代を、オスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』に出てくる、決して老いない主人公になぞらえているのが印象的だ。296ページ、1万7000ウォン(約1600円)

クァク・アラム記者

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