【寄稿】「対北ビラ禁止」は自滅政策

文在寅政権「北朝鮮に向けて風船を飛ばす行為は対北心理戦となるため中断すべき」と主張
ホワイトハウス前の人権デモを心理戦と呼ぶに等しい…米国は懸念している

 今、韓国における多くの団体は「韓国では今、北朝鮮に対する批判を押さえ付けるため数多くの努力が行われている」と私に伝えている。統一部は北朝鮮の人権と脱北民の再定着に関与する市民団体のうち、最低25カ所に対して監視を行った。さらに韓国政府は北朝鮮人権関連の市民団体が脱北者支援センターのハナ院に立ち入ることができないようにし、北朝鮮人権財団に対する財政支援も90%以上カットした。これは「上品な無視」ではなく、表現の自由に対する積極的な弾圧だ。

 もちろん政府が通常の外交努力によって得られた動力を生かしたいと考えるのは理解できる。しかし北朝鮮同胞により良い生活をさせたいとする韓国人の思いを押さえ付けることは「自滅政策」にすぎない。真の南北和解は、韓国をはじめとする全世界で北朝鮮住民を支援したいと考える人たちがいることを北朝鮮住民が知ったとき、最もスムーズに実現する。人権改善の思いや行動が、韓国政府の政策的目標に合致する活動のみに適用されることを北朝鮮住民が知ったとき、これは和解においてプラスにはならない。

 米国の友人たちが沈黙しているからといって、これを「無関心の表明」だとか「風船法に対する韓国政府の主張が受け入れられた」などと考えてはならない。これまで多くの米国人は公開的ではなく私的な機会でのみ懸念を表明してきた。同盟を尊重しているからだ。しかしこの沈黙がいつまで続くかは分からない。ワシントンの人たちは「風船法」に戸惑っており、近く発足するバイデン政権にもすでに懸念の声を伝えている。

ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長

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