【コラム】『朝鮮退魔師』で表出した愛国主義という怪物

 結局、打ち切りが決まり、制作会社と放送局が正式に謝罪したが、その影響は続いている。ドラマを放映した放送局では数百億ウォン(数十億円)台の損失が発生、制作会社の親会社であるYGエンターテインメントの株価は連日下落した。今回の歴史歪曲騒動により、今後放送を控えているファンタジー時代劇も「火の粉が飛ぶのではないか」と緊張している。

 ファンタジー時代劇の歴史歪曲騒動は毎回あった。歴史的な出来事のうち、大きな幹だけ取り入れ、あとは創作者が考証なしに肉付けして作るからだ。いつものハプニングだが、今回はこれまで積もり積もってきた反中感情と相まって、騒動が大きくなった。中国がキムチ、韓服、サムゲタンなどもすべて中国に由来すると主張した「文化の東北工程」(東北工程=高句麗など韓国の歴史を中国史に編入しようとする中国の取り組み)に対する反中感情がちょうど『朝鮮退魔師』の歴史歪曲と重なって、激しさを増して表出したものだ。

 毎年、数多くのコンテンツが制作されているため、レベルの低いコンテンツがあるのも当然だ。『朝鮮退魔師』も批判すべき部分は批判し、まだ放送していない回については修正・編集して放映すればいいことだった。もっと言えば、そのまま何もせずに放っておいても良かった。どうせレベルの低い作品は視聴者にそっぽを向かれ、その作品の演出家や脚本家は次の作品に携わる機会をつかむことも難しくなるからだ。

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