「左手はそえるだけ…」 蚕室球場を沸かせた「腕立て王子」安権守の絶妙スライディング

 午後1時に始まる工場の仕事は午後8時半にやっと終わる。暗くなった空を見て会社を後にすると、夜が明けるまで球を握った。

 野球の練習は午前7時半から。常に睡眠時間は足りなかったが、「継続は力なり」という言葉を繰り返しながら苦労に耐えた。

 あきらめなかった安権守は、2020年シーズンの韓国プロ野球(KBO)ドラフトでほぼ最後の第2次10周目の99位で指名を受け「コリアン・ドリーム」に向かって第一歩を踏み出した。

 安権守は「祖父や父がそうだったように、韓国人として生まれ、韓国人の矜持(きょうじ)を持って生きてきた。日本に住んでいても、国籍を変えると考えたことはなかった。こうして韓国でチャンスを手にすることになった」と喜んだ。

 安権守は昨年、春キャンプの新人体力テストで、自分よりも6-7歳若い同期たちを抑えて1位になり注目を浴びた。そして、守備と走塁の実力を認められて、一軍入りした。昨年の記録は68試合出場で打率2割7分、10安打3打点。今季は4試合出場で忘れられない名シーンを生み出した。

 紆余(うよ)曲折の多い野球人生だったが、今年1月には結婚式を挙げ、「人生のホームラン」を放った。妻の宮谷優恵さんは日本の元モデルでアイドルでもあった。アイドルグループ「アキシブproject」のリーダーを務め、2013年から2019年まで活動していたという。

 昨年の本紙インタビューで、安権守は自身の野球哲学について次のように語った。

 「何としてでも試合に出てし、何としてでもホームプレートを踏まなければならないというのが私の野球哲学です。野球を始めた時から今までずっとそうでした」

チャン・ミンソク記者
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