米テキサス州ダラスの大型病院「メディカル・シティー・ヘルスケア」には、風変わりな看護師がいる。患者の衣類や薬の瓶を運び、血液サンプルを回収する業務を主に担当しているこの看護師の名前は「モクシー」(Moxi)。米スタートアップ企業のデリジェント・ロボティクスが作ったロボット看護師だ。大きな腕を持つモクシーは、人を避けて自由に廊下を行き来し、エレベーターにも乗ることができる。すれ違う人には手を振りながらあいさつをし、頭の部分に取り付けられたディスプレーにさまざまな表情を浮かべる、病院きっての人気者だ。デリジェント・ロボティクスは「モクシーは雑用を受け持ちながら、医療陣が患者の治療により多くの時間を割くことができるようサポートしている」と説明した。
英国のメディアWIREDは最近モクシーのケースに触れ「ロボットが医療、園芸、建設などさまざまな分野で人の仲間になっている」と述べた。現代人は、すでに人間と共に働くロボットの時代を生きているというのだ。
■工場・農場・建設現場に登場したロボット
現金自動預払機(ATM)メーカーの日本グローリーの埼玉工場には「NEXTAGE」というヒューマノイド(人間の姿をしたロボット)従業員が19台いる。日本のカワダロボティクスが製作した同ロボットは、両腕に搭載されたカメラを利用して部品を認識し、生産ライン上で組み立てる。NEXTAGEは約300人の社員と作業を分担しているが、繊細で反復的な作業で高い効率を発揮する。農場にも農作業用ロボットが続々と登場している。アバンダント・ロボティクスのロボット収穫機には、自律走行車のセンサーとして使用される「ライダー」が搭載されている。果樹園で農道に沿って移動しながらロボットアームとカメラを使ってリンゴを収穫する。ディープラーニング(深層学習)技術を利用したソフトウエアにより葉と果実を区分するだけでなく、熟した果実を判別する能力まで備えている。WIREDは「農業人口が不足している米国やニュージーランドで多く普及している」と説明した。オランダの大型温室ではロボットが苗木を植えている。高い人気を誇る花「リシアンサス」の苗木を一定の深さに正確に植えることができ、ロボット1台が実に1時間当たり1万8000本もの苗木を植えることができる。