一方、サムスン電子は先月の韓米首脳会談で、これまでうわさばかりだった20兆ウォンの投資計画を確定させただけで、この資金がどこに使われるかについては依然として沈黙を貫いている。米国の新たなファウンドリ工場は5ナノメートルプロセスが有力だが、3ナノメートルの工場となる可能性もささやかれている。サムスン電子の関係者は「(米国での投資に関連し)具体的な計画と立場はまだ決まっていない」と話した。
サムスン電子は現在、米テキサス州オースティンとの間で設備投資に向けた交渉に臨んでいるという。また、TSMCとインテルのファウンドリ工場を誘致したアリゾナ州とは、大幅な税制優遇について交渉中で、ニューヨーク州とも投資交渉を進めている。業界関係者は「数十兆ウォン(数兆円)に上る今回の投資は、サムスンにとっても少なくない規模だ」として「税制優遇をはじめ、さまざまな地方政府の支援策を綿密に検討していると聞いている」と話した。
米国側の設備投資とは別に、TSMCが積極的に進めている2-3ナノメートルの超微細プロセスについても、サムスン電子は明確なロードマップを示さず曖昧な姿勢を取っている。来年下半期に3ナノメートルプロセスによる半導体の製造計画を表明したほか、2ナノメートルチップ技術の開発が終了した状態だが、これに関する設備投資の動きは観測されていない。サムスン電子の動きが遅いことから、TSMCとの差はさらに開くのではないかというのが業界の見方だ。
海外メディアなども、こうしたサムスン電子のスローな戦略に懸念を示している。日本経済新聞は最近、「サムスン電子の投資規模はTSMCに比べて低い水準」として「サムスン電子とTSMCの差が徐々に開いている」と報じた。
業界関係者は「TSMCも後発のサムスン電子との差を広げるために投資を加速している」として「ファウンドリだけに集中できるTSMCとは異なり、サムスン電子は業界1位の半導体メモリ分野にも注力しなければならないため、集中力が分散する傾向がある」と話した。さらにこの関係者は「このような状況でリーダーが不在という点も、サムスン電子にとっては投資を加速させる上で足かせになっている」と指摘した。