【コラム】アリゾナ州に半導体企業が集中する理由

 アリゾナ州はグランドキャニオンと砂漠という自然景観を除けば、何があるわけでもない。アリゾナ州が見すぼらしく見えるのは西側に境を接するカリフォルニア州の存在だ。米国と全世界の人材、資本をブラックホールのように吸い上げる米国最強、国に当てはめれば世界5位の経済力を誇るカリフォルニアが隣人というわけだ。しかし、逆説的にそうした環境がアリゾナを「企業の大切さを知る場所」にした。企業誘致を通じた雇用創出が差し迫った課題だった。過去20年間、歴代のアリゾナ州知事は共和党、民主党を問わず、一貫して法人税を含む企業の税金を米国内で最低水準に保ち、企業に対するさまざまな支援策を強化してきた。労働者が労組の加入しているかどうかを問わず、働く権利を保障する「労働権利法」を導入し、強硬な労組が根づかないようにした。アリゾナ州がTSMCという大物を釣り上げたのは、そうした努力の積み重ねだ。

 アリゾナ州が「企業の天国」だと言おうとしているわけではない。韓国政府は先月、大統領が出席し、「K-半導体ベルト」に関するイベントを大々的に開き、半導体業界の念願だったさまざまな租税優遇策、インフラ支援を約束した。しかし、業界関係者は「実際に関連法案が国会を通過し、改正されるまでは安心できない」と話した。政府・与党の気持ちがいつ変わるか分からないというのが韓国企業の率直な心情だ。先ごろの韓米首脳会談では韓国の企業リーダーらが44兆ウォン(約4兆3100億円)の対米投資を約束し、米大統領から拍手を送られた。帰国後は青瓦台で大統領の称賛を受けた。しかし、少し前まで大企業を相手に積弊追及をしてきたのが現政権だ。何よりもまずアリゾナ州のように一貫して、イベントではなく政策と実践で韓国の半導体産業のことを考えるべきだ。「国が企業の大切さを知っている」という信頼が得られれば、韓国企業は砂漠が半導体ハブになる奇跡よりも大きなことをやってのけるはずだ。

李吉星(イ・ギルソン)記者

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