ホン裁判長は「言論の自由は韓国社会の最後の砦(とりで)だけに、取材行為を刑事処罰することに対しては慎重にならなければならない」と言いながらも、「スクープを出そうという欲に駆られ、収監中の被害者に圧力を加え、家族に対する処罰の可能性に言及したことは明白な取材倫理違反だ」とした。
この日の無罪判決をめぐって、法曹関係者の間では「無理な起訴による、予想通りの結論だ」という声が聞かれた。検察はイ・ドンジェ元記者に「強要未遂」を適用したが、「強要罪」は暴行・脅迫により義務でないことを人にさせる場合に成立する。また、要求を拒否した場合に不利益を被る具体的な「害悪の告知」がなければならず、これにより、恐怖を感じる必要がある。ある法曹関係者は「何の司法的権限もないイ・ドンジェ元記者が『検察があなたを厳しく捜査すると言っていた』と述べたことに対して、イ・チョル前代表が恐怖を感じたのは、そもそも非常識なことだった」と話す。
地裁もこの点を指摘した。地裁は「イ・ドンジェ元記者は(イ・チョル前代表に向かって)『シルラジェンに対する強度の高い捜査』などに言及したが、これだけで(強要罪成立に必要な)『害悪の告知』と見なすのは難しい」と判断した。地裁はまた、「害悪を告知する主体(イ・ドンジェ元記者)と実現する主体(検察)が異なる場合、イ・ドンジェ元記者が検察の行為を事実上支配したり、検察に影響を与えられたりする地位にあるものと(イ・チョル前代表に)信じさせる行動をしなければならないが、そのような行動は見当たらない」と述べた。