事実、与党が作った改正案は「虚偽・操作報道と虚偽の事実または事実だと誤認するよう操作した情報を報道する行為」(法律改正案第2条新設条項)と規定している。しかし、この文言のほかには詳細な規定がなく、果たして何を虚偽・操作報道と見なすのか、論争になることが予想される。このため、政府高官・政治家・大企業など新聞・放送の批判対象になる権力機関が報道に対して恣意(しい)的に「虚偽・操作報道」と主張し、すぐに訴訟を起こすことができるようになるということだ。
例えば、調査報道の場合、報道当時者たちが事実ではないと否定し、数カ月または数年後、裁判を通じて事実だと分かることも多い。最近の裁判を通じて過ちが明らかになっているチョ国(チョ・グク)元法務部長官問題の場合も、メディア報道の段階でいわゆる「封鎖訴訟」を簡単に起こすことができる根拠が法律として作られることになる。
成均館大学法学専門大学院のチ・ソンウ教授は「記者たちが常に訴訟を起こされる危機にさらされて、実質的には何も言えなくなる、いわば『委縮効果』を狙う非常に危険で狡猾(こうかつ)な法律だ」と語った。