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罪がないのに少年院に入所する韓国の子どもたち(上)

保育院を飛び越えて少年院へ
「保護観察違反」で法廷に立たせるケースも
再犯の可能性だけで「通告制度」による裁判へ

 生まれたばかりで親から捨てられたある少女(18)は15歳だった2018年から2年にわたり少年院で生活していた。罪を犯したからではない。少女は「施設(保育院)から逃げ出した」という理由で初めて法廷に立った。食事をしなければトイレに監禁し、強制的に食べさせるなどの虐待から逃れるため保育院から逃げ出したのだが、裁判所は少女に日常生活の監督を受ける保護観察の処分を下し、元いた保育院に送り返した。その後、少女は保育院から何度も逃げだそうとしたため、これが「保護観察違反」となり最終的に2年にわたり少年院で過ごすことになった。

 犯罪行為に手を染めたわけでもない少女が少年院に送られた理由は「通告制度」があるからだ。通告制度とは保護者あるいは学校や社会福祉施設、保護観察所の長が警察などの捜査機関を経ず直接事件を裁判にかける手続きのことだ。問題はこの制度を使えば罪がない場合でも罪を犯す恐れのある「虞犯(ぐはん)少年」という理由だけで、未成年者を法廷に立たせてしまう点にある。虞犯少年が法廷に立った事例は昨年198件、今年は上半期だけで124件だった。2013年以降は毎年100件以上の裁判が行われている。

 専門家はこの通告制度について「『烙印(らくいん)』として作用し、韓国社会の死角地帯にいる少年たちを制度の外に追いやっている」と批判する。国家人権委員会も先日「虞犯少年という法的概念は管理が難しい少年たちを施設、あるいは学校の外に追いやる手段として誤用・乱用されている。これは通告制度も影響している」と指摘した。

 通告制度は1963年に少年法が制定されると同時に導入された。58年前にできたこの通告制度は「逸脱あるいは非行に走った青少年を保護する」という趣旨で始まったものだ。ソウル家庭裁判所の関係者は「通告制度は子供たちを法廷に立たせて罰を与えるものではなく、保護することが目的だ」「特に女性の場合、家出を繰り返せば未婚の母になるケースもあるため、この種の問題を事前に予防するためだ」と説明した。実際に韓国の法律は満19歳未満の少年犯に対しては処罰よりも矯正に重きを置いている。禁固刑以上の罪を犯さない限り、裁判所少年部から社会への奉仕、短期あるいは長期の保護観察、少年院送致などの保護処分が下される。

ハン・イェナ記者、チェ・ジェウ記者

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