エスパー米元国防長官回顧録「在韓米軍の完全撤収、トランプが提案していた」

エスパー元国防長官、回顧録で明かす
「文政権はTHAADを放置…これが同盟に対する態度かと抗議した」

 エスパー氏は「(2017年のTHAAD配備当時)中国の激烈な反応にもかかわらず、朴槿恵(パク・クンへ)大統領はひるむことなく耐えた」としつつ「しかし(文在寅大統領が就任したことで)韓国の立場が変わった。中国側に引っ張られていくかのように見えた」「陸軍長官だった2018年から、数度にわたって韓国側に問題提起した」「そのたびに『もう少しだけ我慢してほしい』と言うだけで、ソウルは行動しなかった」「このとき、韓国が中国を『経済的パートナー』と見なして味方をしつつも、同時に安全保障を理由に米国へ依存するという『不可能な』道を選ぶのではないか-という懸念が(米国政府内で)浮上した」とつづった。

 エスパー元長官は「2020年10月、私のカウンターパートに『THAADを韓半島から撤収する案を考慮したい』と通知した」と明かした。当時、韓国側のカウンターパートは国防部(省に相当)の徐旭(ソ・ウク)長官だった。エスパー氏は、当時韓国側に「これが同盟に対するやり方か」「あなた方の息子や娘がこんな条件で服務すると考えたら、幸せでいられるだろうか」と強い語調で問題提起を行った、と明かした。そうして、傍らにいたマーク・ミリー統合参謀本部議長に「韓半島からTHAADを撤収して他の場所で任務を遂行できるようにする案について、統合参謀本部は90日間調査を行うように」と指示したという。エスパー氏は「外交的なやり方ではなかったが、韓国人を揺さぶる必要があった」とし「米軍は米国だけでなく韓国も守っているのだから」と述べた。この案は、実際には履行されなかった。

 またエスパー元長官は「進歩を旗印とする文在寅政権は、どうやってでも(米国から)戦時作戦統制権(統制権)を回収しようとした」とし「(統制権の移管は)正しいアプローチであり、かつ、米国も支持する案だ。しかし、韓国軍の準備ができているときに移管を行わなければならない」「すぐさま移管した場合、(韓米間の)合同戦争対応の効率に害を与え、これは北朝鮮に対する抑止力にも大きな影響を及ぼす」と記した。

 このほかエスパー元長官は、文在寅政権が2019年の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定を発表したことについては「(韓日間の不和で)北朝鮮や中国が利益を得ている」とし「こうした様子を見たトランプは、うんざりしたように頭を振りつつ『こうも偉大な同盟に価値があるのか』と皮肉っぽく言った」と伝えた。

ワシントン=イ・ミンソク特派員

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