北朝鮮で餓死者が続出…労働新聞も「共和国が非常局面」

北朝鮮で食糧難が深刻に「苦難の行軍がまた来た」

 1990年代の「苦難の行軍」当時は配給の再開だけを信じて100万人以上が餓死した。しかし2000年代以降は住民の多くが市場で食料を購入するようになり、深刻な食糧難は起こらなかった。配給は平壌市内や軍人など特別な地域や階層だけが受けている。ところが北朝鮮の最近の食糧難は配給システムが原因ではなく市場が問題という点でこれまで以上に深刻と考えられている。北朝鮮で農畜産関連の政府職員だったグッドファーマーズ研究所のチョ・チュンヒ所長は「輸入がストップした状態が長期化しているため市場では在庫そのものがなくなった」「食用油の場合、コロナ以前だと8000ウォン(約830円)だったのが今は3万2000ウォン(約3320円)にまで上がった。ただそれでも現物そのものがない」と現地の状況を伝えた。

 国境地域の消息筋によると、中朝間の密貿易で持ち込まれる食料や物資も大きく減り、市場の運営そのものが難しくなったという。市場がストップすれば一般住民の生存が難しくなる。ある北朝鮮支援団体の代表は「北朝鮮関連の実業家や米国での話もみんな同じだ」とした上で「苦難の行軍がまた始まった。北朝鮮の学者たちも『自分の人生で苦難の行軍を2回も経験するとは』と嘆いている」と伝えた。中国は最近、年末に予定されている共産党大会に向け国境での検疫を強化しているため、北朝鮮の食糧難は今後も悪化する見通しだ。国連食糧農業機関(FAO)は先日公表した報告書で「直ちに食糧支援が必要な44カ国」に北朝鮮も含めた。

 北朝鮮当局も最近の状況を深刻に受け止めている。今月に入って北朝鮮の労働新聞は「共和国の行路で今日のように非常に厳しい局面はなかった」と報じた。ユ・ソンオク元国家安保戦略研究院長は「北朝鮮は体制の動揺を防ぐため党幹部と住民への監視を強めている」として「金正恩の偶像化は一層厳しく進められているが、これも食糧難などで内部の不安が高まっていることを逆に証明している」と指摘した。

キム・ミョンソン記者

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