韓国の若者の間で暴走するフェミニズム…男女平等唱えながら性的少数者を排除

女子大合格した「トランスジェンダー女性」、反対署名運動で入学断念

恋愛・性関係・結婚・出産拒否も

有利な部分だけ取る「ビュッフェミニズム」論争

【韓国ジェンダーリポート2022】〈第9回〉

 女子大学を卒業したユさん(29)はフェミニズムを支持しているが、自分を「フェミニスト」と呼ぶことについてはちゅうちょしている。大学時代、校内のフェミニズム・サークルが主催したセミナーに行った時、「化粧落として来て」「なんでスカートをはいて自分自身を性的対象にするの?」ととがめられてからは遠ざけてきた。そして、「脱コルセット」運動がフェミニズムに及ぼす否定的な影響を研究した論文で修士号を取った。ユさんは「女性が自分の望む姿で歩ける自由を手にするのがフェミニズムだ。自分たちの思想を一方的に強要するフェミニズムは共感を得られない」と語った。

 嫌悪・差別・排除と闘うべきフェミニズムが、逆に女性やその他の社会的弱者を排除する様相を呈するようになり、批判もされている。女性団体が性暴力被害者に2次被害を与え、女性優越主義を掲げて男性嫌悪表現をするコミュニティー・サイト「WOMAD(ウォーマッド)」が登場し、フェミニズムに対する否定的認識が高まった。女性に有利なものだけを取捨選択するフェミニズムをあざ笑う「ビュッフェミニズム」(ビュッフェ+フェミニズムの造語)という言葉も登場した。

 キャンパスでフェミニズム論争が目につくようになったのは、トランスジェンダー女性の女子大学入学が学生たちの反対により実現しなかった事件がきっかけだった。2020年、男性から女性に法的に性別変更したトランスジェンダー女性が淑明女子大学に合格したことが分かって在学生を中心に入学反対署名運動が起き、合格者は結局入学を断念した。署名運動には淑明女子大学の在学生と卒業生、ほかの女子大学の学生ら2万人近くが参加した。これを主導した人々は「生まれた時から女性でなければ女性とは認めらない。性器の手術をしたからと言って女性になることはできない」と主張した。また、「トランスジェンダー女性の入学を許せば、女性だけで成り立っている安全な空間を男性が侵すことになる」というのがこれらの人々の論理だった。この事件は、ジェンダーによる差別や嫌悪に反対するフェミニストたちが逆に性的少数者を差別・嫌悪したという理由で非難を浴びた。

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  • ▲「トランスジェンダー女性」入学賛否問う壁新聞-あるトランスジェンダー女性の淑明女子大学合格が分かった2020年、キャンパスに入学の賛否を問う壁新聞が掲示された。このトランスジェンダー女性は結局、入学を断念した。写真=聯合ニュース

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