献金・贈り物・セックス…世界の政界を席巻する中国スパイ、対韓工作の実態とは(第2回)

■三つのルートで韓国政治を圧迫する中国

 焦点は、中国共産党が韓国政治にはどれほど、どのように介入・関与しているかだ。取材の結果、韓国政治への介入は三つのルートで行われていた。第1は、中国外交部(省に相当)と在韓中国大使館を中心とした公式のラインだ。この両者は各種の発言のレベルとタイミングを緊密に調整していた。

 2021年7月15日、当時の保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領予備候補が「THAAD(高高度防衛ミサイル)配備撤回を主張したいのなら、(中国は)自国の国境付近に配備した長距離レーダーをまず撤収すべき」という「水平的対中関係」を主張したことを巡って、ケイ海明・駐韓中国大使は国際外交街の慣例を破り、中央日刊紙へ寄稿を行って直ちに反論した。その後も、中国外交部の報道官はケイ海明大使の肩を持ち、擁護した。

 2020年1月末に韓国に赴任したケイ海明大使は、駐在国への信任状捧呈も終えていない状態で新型コロナに関連する韓国の一部入国禁止措置に不満を表明した。同年2月には「一部の韓国メディアや政治家が反中感情を扇動している」との暴言を吐いた。外交官が、友好の増進という本分はかなぐり捨てて韓国政治家・メディアをとがめたのだ。

 今年6月29日と30日にNATO(北大西洋条約機構)首脳会議へ出席した尹錫悦大統領を巡り、中国外交部の報道官は「仲間づくりに巻き込まれ、利用されてはならない」と発言した。しかし中国側は、中国の誤った行動を指摘する韓国政治家の発言やメディアの報道は「認められない」と突っぱねている。

 保守系与党「国民の力」の李俊錫(イ・ジュンソク)代表=当時=が昨年、ブルームバーグ通信のインタビューで「(香港の民主化デモを抑圧する)中国の残忍さ(cruelty)に立ち向かう」と発言すると、中国外交部は「香港の事務は中国の内政であって、いかなる国や組織もとやかく言ってはならない」と反発した。


宋義達(ソン・ウィダル)エディター

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