献金・贈り物・セックス…世界の政界を席巻する中国スパイ、対韓工作の実態とは(最終回)

■韓国人の80%は「中国が嫌い」…「内政干渉」1位

 事案によっては、80万人に達する韓国国内の朝鮮族や在韓中国人留学生の一部も参加しているといわれる。2020年2月、自分は朝鮮族だと身元を明かしたあるネットユーザーが、韓国国内のサイトに「中国共産党が朝鮮族や中国人留学生などを抱き込み、韓国のネット世論を操作している」として「チャイナ・ゲート」を暴露した。

 今年3月には、青瓦台の竜山移転反対の世論を中国が組織・拡散しているという.疑惑も広まった。多数の人間を動員した中共の世論操作が行われたら、韓国人の政治的判断や選択が誤導されかねないというのが現実だ。

 注目すべきなのは、中国の韓国に対する政治介入を認知し、反感を表出させる韓国人が増えているという事実だ。米国の世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2022年6月29日に公開した対中認識調査を見ると、韓国人の54%は「韓国の国内政治に対する中国の関与は極めて深刻(very serious)」と回答した。

 これは調査対象19カ国中、同項目で最も高い数字になる。同時に、韓国政治に介入・関与し、時には属国扱いのようなことをする中国の傲慢(ごうまん)な振る舞いに対し、次第に、より多くの韓国人がうんざりしていることの傍証だ。

■「中国に抵抗する韓国の力を弱めることが目標」

 その結果、韓国国民の2022年度中国非好感度(unfavorable view)は80%を記録し、歴史上最も高くなった。2015年(37%)と比べてみると、非好感の比率はわずか7年で倍以上に増えた。この調査で韓国は、19カ国中唯一、青年層の中国非好感度が壮年層を上回った。

 問題は、中国の対韓影響力工作が中止されたり減少したりする可能性は皆無だということだ。クライブ・ハミルトン教授は、著書『『目に見えぬ侵略』にこのように記した。

「インド・太平洋で中国が狙っている主な国はオーストラリアと日本、韓国だ。中共は韓国の学界や政界、言論界、文化界全般で北京擁護論者や融和論者を確保した。中共の目標は、韓国各機関の独立性を損ない、北京に抵抗する韓国の力を弱めることだ」(7-9ページ)

 これは、今後中国の攻勢が一層執拗(しつよう)になり、韓国人の反中感情がさらに悪化することもあり得ることを示唆している。

宋義達(ソン・ウィダル)エディター

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  • ▲豪チャールズスタート大学のクライブ・ハミルトン教授が書いた書籍の韓国語版。/写真=朝鮮日報DB
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