北のミサイル、資金源は仮想通貨だった…今年だけで1兆7000億ウォンをハッキング

 北朝鮮が暗号通貨ハッキングに没頭するのは、対北朝鮮制裁網が張り巡らされたほか、コロナで国境も封鎖され、麻薬取引やいわゆる「スーパーノート」(超精密偽造紙幣)のような従来の外貨調達手段がうまく機能していないためだ。また、仮想通貨生態系が最近数年間で飛躍的に成長する中、仮想通貨の取引所やプラットフォームは相対的にセキュリティーが脆弱(ぜいじゃく)である点も一因だ。外交筋は「偵察総局の指揮を受けるハッキング集団が新たな金融資産に目を向け、資源を注入した結果、情報当局が『知能型の持続的な脅威(APT)』に分類するほどハッキング能力が伸びた」と話した。

 韓米は北朝鮮が7回目の核実験など重大な挑発を強行すれば、これまで準備してきた独自の対北朝鮮制裁措置を発表する見通しだ。今年8月に韓米の北朝鮮核問題を担当する次席代表が加わった「北朝鮮のサイバー脅威対応のための実務グループ」が結成され、北朝鮮が仮想通貨ハッキングで制裁を回避し、核・ミサイル資金を調達することを阻止するための措置を集中的に話し合ってきた。▲仮想通貨のハッキングおよびマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した業者・人物の制裁▲北朝鮮の関与が疑われるハッキング組織の仮想通貨口座の情報公開▲ハッキング組織が取引所や匿名のデジタルウォレット(電子財布)に隠した仮想通貨の押収、取引阻止--といった方策が議論される。

 米国は既に財務省外国資産管理室(OFAC)が中心となり、北朝鮮の仮想通貨奪取と不法活用を阻止する制裁を発表してきた。「ハッキングで確保された資金がロンダリングされ、核・ミサイル開発に転用されている」との問題意識があるためだ。マヨルカス米国土安全保障長官は10月18日、「北朝鮮が過去2年間に10億ドルを超える仮想通貨とハードカレンシーのサイバー空間での奪取を通じ、大量破壊兵器プログラムに資金を支援した」と指摘。ニューバーガー国家安全保障担当副補佐官(サイバー・先端技術担当)は今年7月、「北朝鮮が悪意的なサイバー活動を通じ、ミサイル開発に必要な資金の最高3分の1を確保している」と試算した。

 米財務省は今年5月と8月、北朝鮮ハッカー組織による仮想通貨ロンダリングに使われるミキサー(暗号通貨を分割し、誰が伝送したのか分からないようにする技術)の運営業者「ブレンダー」「トルネードキャッシュ」をそれぞれ制裁した。ブレンダーはラザルスが3月にブロックチェーンビデオゲーム「アクシーインフィニティー」から奪取した仮想通貨6億2000万ドルの一部をロンダリングするのに使われたが、ブリンケン国務長官は当時の声明で「米国は悪意のサイバー行為者に権限を行使することをためらわない」と述べた。韓米情報当局は北朝鮮がハッキングを通じて確保した資金がさらにあるとみて追跡している。

 北朝鮮の仮想通貨ハッキングで韓国国内の取引所も被害を受けており、対策の必要性が高まっている。国連の対北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが2019年に発表した報告書によれば、北朝鮮は2019年「アップビット」を攻撃し、570億ウォン相当のイーサリアムを奪取。「ビッサム」も17年から19年にかけ、1000億ウォン近い仮想通貨を盗まれた。10月の政務委国政監査で尹漢洪(ユン・ハンホン)国会議員が「北朝鮮のハッキンググループの電子財布から4年間で5246万ドル相当の仮想通貨が韓国取引所に流入した」と主張したように、韓国国内の取引所が北朝鮮のハッキング組織に利用されかねないとの懸念が高まっている。

金隠仲(キム・ウンジュン)記者

【写真】韓半島上空を飛行する米空軍の戦略爆撃機B1-B

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