全長1キロのうち420メートル掘り進んだ福島の海底トンネル、秒読みに入った汚染水131万トン放流

本紙東京特派員、工事現場に行ってみた

 福島第一原発の汚染水を巡る論争の中心にあるのは、浄化作業を行っても除去されずに残っている「トリチウム」だ。東京電力は、処理水のトリチウムは安全だと強調する。東京電力はこの日、原発の敷地内に設置したヒラメ・アワビの養殖場を取材陣に公開した。処理水でいっぱいの八つの水槽で、それぞれ200匹のヒラメ・アワビを育てている。養殖場の責任者は「養殖場の状況は水中カメラで24時間、ユーチューブで生中継している」とし「原発の処理水でも何も問題なくヒラメがきちんと育っていることを示している」と語った。

 三重水素(トリチウム)の濃度を、日本政府が定める排出基準の40分の1以下、世界保健機関(WHO)が定める飲料水基準の7分の1以下にまで薄めて排出するという東京電力の計画を、国際原子力機関(IAEA)が「承認」したとも強調した。東京電力の松本純一・ALPS処理水対策責任者は「2051年までかけて処理水全量の放流を完了する計画」とし「処理水に含まれるトリチウムの年間放出量は22兆ベクレルを下回る水準とする」と語った。

 日本政府は、汚染水放流を巡る懸念に対し「他国の原発もトリチウムを放流しており、福島第一原発は放流基準を厳格に守っていて、科学的に何も問題はない」と主張する。だが福島県の住民は、依然として不安をあらわにしている。福島県漁連の野崎哲会長は最近、NHKの取材に対し「放流反対という立場に少しも変わりはない」とし「海は漁民の職場のようなところなので、東京電力側に、より具体的な説明を引き続き求める」と語った。

 周辺国に対する配慮がないことも見過ごし難い、という指摘が出ている。日本で会ったある原発専門家は「日本政府が主張しているように、科学的には、大きなプールに小さな子が1人おしっこをしても希釈されて問題ないといえる」としつつも「だがみんな一緒に利用しているプールに子どものおしっこを流す立場の日本が、まずよそに了解と同意を求めるのが筋ではないか」と語った。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

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