21世紀版アヘン戦争? 米国で中国産「フェンタニル」中毒がまん延

「中毒性がモルヒネの100倍」とされるフェンタニル

18-49歳米国人の死亡原因1位

 米国政府と中国政府は2018年から中国の違法なフェンタニル原料生産者を規制するため協力を続けてきた。2019年の米中貿易交渉締結前後に中国はトランプ政権の意向に合わせ当時からフェンタニルの規制を非常に厳しくした。しかしその後は米中対立が深まった影響で中国はフェンタニルの輸出規制を緩めているという。ウォールストリート・ジャーナルが24日に報じた。バイデン政権が中国共産党による新疆ウイグル自治区での人権弾圧や台湾侵攻への懸念などを話題にするたびに、米国国内におけるフェンタニルの流通量が急増するパターンが繰り返されているという。

 実際に今年8月に米連邦議会下院のペロシ議長が中国の反発を受けながら台湾を電撃訪問した直後、中国はフェンタニル規制関連の交渉窓口を全て閉鎖したという。米国政府当局者がウォールストリート・ジャーナルの取材で明かした。米国は駐米大使館など複数の外交ルートを通じて対話を求めているが、中国は沈黙を続けているようだ。今年11月にバイデン大統領と中国の習近平・国家主席が首脳会談を行ったことで両国関係改善の兆しが出たようにも見えたが、米国国内での違法フェンタニル流通量は減少していない。ニューヨークやテキサスの検察による中国人フェンタニル製造業者の指名手配に対しても中国は協力していない。国連麻薬委員会は今年3月に規制物質目録に4APを追加したが、中国がこれを拒否したため執行には至っていない。

 米国の抗議に中国外交部(省に相当)報道官は「米国人による過度な麻薬依存が問題だ。なぜ中国のせいにするのか」と逆に批判した。また中国のフェンタニル原料メーカーも「誰かが人を刃物で殺害した場合、(刃物の材料となる)鉄鋼の生産が違法になるのか」と反発している。中国は米中対立が深まる状況でも巨額の利益をもたらすフェンタニル原料製造業者を厳しく規制する必要性は感じていないという。米国の外交専門誌ディプロマットは「中国は違法麻薬輸出を取り締まることができる多くの手段を持っているが、あえて傍観している」と指摘した。

ニューヨーク=鄭始幸(チョン・シヘン)特派員

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