中国のメディア関係者は「中国政府はこれ以上英語を外の世界とつながる道具とは考えていない」「今中国のエンターテインメント業界では中国語を世界の公用語にするための努力が進められている」と語る。メディア政策を担当する中国新聞出版放送総局は昨年、「芸能界で外国語の名前を使うな」という指針を下した。北京や天津など大都市では公共の場所の英語表記は拼音(ピンイン、アルファベットを使った中国語の発音表記)に変更されている。
SNS(交流サイト)などでは「英語は中国富裕層の専有物になっている」との批判もある。英語教師を家事手伝いとして採用する秘密家庭教師、さらにキャンプ形式で行われる英語教育などは従来型の塾に比べて費用が5-10倍はかかる。北京に住むある30代女性は「富裕層の親たちは子供を英語幼稚園、英語とフランス語を使うインターナショナルスクールに通わせるのが一般的だ」「学校で英語の時間が減れば減るほど、中国人の英語力は財産や社会的地位に比例するようになるだろう」と指摘した。SNSでは英語が上手な生徒を「網紅(インフルエンサー)」とするケースが逆に増えている。現状は英語力が海外留学や外資系企業への就職などに直結しており、英語ができることへの若者の憧れはさらに強まっている。
「英語教育にもっと力を入れるべきだ」という声も徐々に高まっている。ある有名なウェイボー(中国版ツイッター)アカウントは「中国の80後(バーリンホウ、1980年代生まれ)たちは誰もが英語にはまって生活した経験があり、それが彼らの競争力になっている」「世界のほとんどの情報は英語なので、英語は必ず学ぶべきだ」と訴えている。
北京=イ・ボルチャン特派員