反国家活動歴ある国家有功者への報償金支払い停止決定、共に民主議員が批判「再審査すべき」

工作船に乗って訪朝した利敵団体幹部、「学徒兵として参戦した」という理由で「有功者」に

 韓国野党が、反国家団体で活動した前歴のある国家有功者に対する報勲報償金の支給を中止した国家報勲処の決定を批判し、再審査要求に乗り出した。これに対し朴敏植(パク・ミンシク)報勲処長は「自らが否定する大韓民国から有功者として認められ、報償金を受け取っていること自体が話にならない」と反発した。

 革新系最大野党「共に民主党」の金成柱(キム・ソンジュ)議員は今月20日、国会政務委員会の会議に出席した朴処長を相手に、故クァク・トンイ氏に対する報償金支払い停止の経緯を追及した。その上で「この方に対して国家有功者と認めておきながら、明らかでない理由で報償を中止するのは正しいことか」と語った。国家有功者法は、禁固以上の実刑の宣告を受けたり品位を損なう行為をしたりした場合には報償を停止できると定めているが、クァク氏はこれに該当しないという趣旨だ。

 クァク氏は6・25戦争当時、日本の大学に通っていたが、在日学徒義勇軍として7カ月間参戦したという名分を掲げ、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2006年1月に国家有功者として認定された。しかしクァク氏は1973年、日本で「連邦制統一」を主張して「在日韓国民主回復・統一促進国民会議(韓民統)」結成に加担し、汎(はん)民連(祖国統一汎民族連合)などで活動した人物だ。韓国大法院(最高裁に相当)は、韓民統を「反国家団体」、汎民連を「利敵団体」と判示した。これを根拠に報勲処は、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2010年7月、クァク氏に対し「無断で訪朝し、反国家団体活動を行うなど、国家有功者としての品位を損なった」として報償金支払い停止を議決した。この決定が出るまでにクァク氏が受け取った報償金の総額は5229万ウォン(現在のレートで約542万円)に上る。クァク氏は2017年6月に亡くなったが、北朝鮮の立場を代弁する朝鮮総連の機関紙によると、クァク氏に対する追悼式が平壌で開かれた。

 金成柱議員は国会で「政権に反対し、批判し、民主化運動を行ったことが反国家行為なのか」とし「私も民主化運動をやって反国家の疑いを持たれたが、赦免復権を受けて名誉回復もされた」と述べた。これに対し朴敏植処長は「クァク氏は長年にわたり、韓民統・汎民連など大法院で反国家団体や利敵団体と判示された組織の中心メンバーだったので、韓国の正統性やアイデンティティーを否定していた人物」だとした。さらに「民主化関係者とクァク氏は質的に次元が異なる」「クァク氏は1970年4月に北朝鮮の工作船で密入北し、密封教育(外部との接触を断って行う教育)まで受けた人物」と答弁した。

 この日、政務委の会議を主宰した金鍾民(キム・ジョンミン)共に民主党議員は「単に、かつて特定の団体の活動を行ったということだけで一人の人間の名誉やアイデンティティーを断定するのは無理があると思う」とし「韓国を否定したという事実の根拠が何なのかを、お二人ともあらためて確認してみるべき」と述べた。

キム・スンジェ記者

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  • ▲写真=金成柱(キム・ソンジュ)議員。/NEWSIS

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