日本政府は28日、強制徴用に関する記述を以前よりも曖昧にした10種類の小学校教科書に対する検定を承認した。来年以降、日本の小学生たちが学ぶこれらの教科書では独島(日本は「竹島」と表記)に関する説明が「韓国が占拠」から「韓国が不法占拠」へと変更された。歴史に対する認識が後退した形だ。
【資料】日本の小学校社会科教科書の変更内容(2019年・2023年比較)
日本の文部科学省は28日に教科用図書検定調査審議会総会を開催し、小学校3-6年生の社会科教科書10点に対する検定を承認した。日本の小学校は来年以降、政府の検定を通過した社会科教科書の中から一つを選択し、翌年から児童を指導する。歴史を歪曲(わいきょく)して記述した日本の教科書検定に対し、韓国大統領室の幹部は「大韓民国の領土と主権については一切の譲歩もあり得ない。これは大統領室の断固たる立場」と述べた。韓国外交部(省に相当)は報道官声明で「深い遺憾を表明する」と発表し、趙賢東(チョ・ヒョンドン)韓国外交部第1次官は28日午後5時ごろ、熊谷直樹・駐韓日本大使館総括公使を大使代理として外交部に呼び、教科書検定に抗議した。
新しい教科書には日帝強占期に強制的に徴兵・連行された韓国人に対する記述が以前よりも弱まるか、あるいは曖昧な表現に薄まった。55%と最も高いシェアを持つ東京書籍発行の6年生社会科教科書は徴用について「多くの朝鮮人と中国人が強制的に連れてこられて」だったのが、「強制的に動員された」に変更された。今回も「強制的に」という表現は削除せずそのまま使用された。しかし連行するという意味の「連れてこられた」は「動員された」と純化された表現に変わった。同じ教科書で徴兵に関する表現は「日本軍の兵士として徴兵され」という文章が「日本軍に兵士として加わるようになり、のちに徴兵制が取られるようになりました」に変わった。教育出版の教科書も「日本軍の兵士として徴兵され、戦場に送られた」だった以前の記述から「徴兵され」が除外された「日本軍の兵士として戦場に送られた」に修正された。
独島についてはさらにひどくなった。東京書籍は「竹島は…韓国に占拠され」だったが、今回は「不法占拠」に変更された。また独島が「日本固有の領土」となり、以前の「日本の領土」よりも強い表現に歪曲した教科書も増えた。日本文教出版はこれまで「日本領土の北方領土と竹島」という記述を「日本の固有領土の北方領土と竹島」に変更した。「独島は一度も他国の領土になったことがない」という意味を強調したのだ。日本の検定教科書は独島と共にロシアが実効支配している南クリル列島の4島(日本名、北方領土、北海道の北側に位置)と、中国と領有権争いをしている尖閣(中国名、釣魚島)列島についても日本固有の領土と明記している。
日本の文部科学省は小中高校の歴史教科書に対して4年に1回検定を行っている。2021年には高校1年生、昨年は高校2-3年生、今年は小学校の教科書を検定した。来年は中学校の教科書を検定する。今回歴史に関する記述の修正は今月開催された韓日首脳会談とは関係なく、事前に定められたスケジュールによって行われた。日本政府が悪意を持って首脳会談直後に歴史歪曲を行ったとは考えられないということだ。
日本の出版社は教科書を編さんする際、文部科学省の「学習指導要領解説書」を基準としているが、この「学習指導要領」は日本の閣議決定に従って歴史記述の方針を変更する。今回の強制徴用・徴兵に関する記述の変更は2021年「朝鮮人戦時労働は強制連行や強制労働ではない」とする閣議決定に沿ったものだ。これに伴い昨年検定が行われた高校2-3年生の歴史教科書にも同じ修正がすでに行われている。
日本は日帝強占期当時の強制徴用について「戦時国民動員令に基づき、日本国籍者を徴兵・徴用した措置であるため、合法的な国の公権力公使」と主張している。当時の韓国人も日本国籍者だったため、不法性はないという解釈だ。「1910年の朝鮮強制併合は合法」とする日本の主張が前提となっている。しかしこれらの前提は韓国の立場とは完全に異なる。韓国は日帝による朝鮮併合そのものが不法であるため、「合法的な国家の公権力行使そのものが成立しない」と考えている。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長、キム・ウンジュン記者