ウクライナが兵力不足に悩まされる中、当局が強引な方法で徴兵しているという話が流れ、論議を呼んでいる。
【写真】怒った市民の左一閃、新兵募集担当者が帽子を飛ばされる様子
英紙フィナンシャルタイムズが4日(現地時間)、報じた。それによると、SNS(交流サイト)には最近、ウクライナの新兵募集担当者らが男性たちを路上で無理やり連行して乗用車に押し込み、怒った住民たちが抗議するという動画が出回っている。
先週にはウクライナ南部ミコライウで当局者から逃れようとしていた男性が、橋から飛び降りて死亡したという疑惑が浮上し、現地当局が捜査に乗り出したことが分かった。
ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は今年6月「動員令が国民に衝撃を与えてはならない」として、徴兵の透明性を高めるとともに不法行為を働いた担当者への処罰を強化することも約束していた。
しかし、このように公式の釈明が出た後も、徴兵対象者が強制的に連行される動画が多数出回り、世論の反発も高まっている。
今月1日夜には、ウクライナ中部の都市ビーンヌィツャのスタジアム前に約80人が集まり、最近動員されてスタジアムに移送された新兵たちの解放を求めるデモを繰り広げて騒動になった。現地警察によると、一部のデモ参加者はスタジアムへの侵入を試みたという。
先月には、同じく中部にある都市ポルタバの新兵募集所で、動員された男性たちを乗せて訓練所に向かっていたワゴン車を住民たちが遮るという騒動があった。西部のテルノーピリでも、徴兵担当者が乗ったパトカーを住民たちが取り囲むという事態が起きた。今年5月にも、カームヤネツポジリスキーで約100人が大声を上げながら徴兵車両の前に立ちはだかり、タイヤをパンクさせた。
ウクライナ検察によると、今年上半期に軍を妨害した容疑で捜査が始まったケースは500件を超えているという。昨年上半期は200件だった。
ウクライナは戦争状態が3年半続いて死傷者数も膨れ上がり、兵力不足に悩まされている。
現在は25歳以上が徴兵対象で、24歳以下は志願入隊が可能だ。ゼレンスキー大統領は、25歳未満も徴兵すべきだという西側諸国の圧力に対し、ウクライナの未来を担う世代を犠牲にすることはできないとして、かたくなな姿勢を崩していない。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍が1カ月に最大2万7000人を動員できると述べた。外部の分析家らによると、ロシアは毎月3万人以上の兵力を動員している。
ウクライナでは志願入隊者は新兵の約10%にとどまっているとされるが、ロシア軍ではほとんどの新兵が高額な金銭で釣られた志願入隊者だという。
ウクライナの調査会社インフォ・サピエンスが今年4月に実施した世論調査によると、回答者の77%が新兵募集所に不信感を示した一方で、93%は軍を全般的に信頼していると答えた。
イ・ルラ記者