特に、韓国と日本は、グローバル・サプライチェーンが再編される中、さらに敏感に米国と中国を意識せざるを得ない。サプライチェーンのグローバル化とブロック化という二つの矛盾する現象が同時に起きているこの時期に、韓国は今後どこに中心を置いて戦略を練るべきなのか。もちろん長期的には韓国国内に完結した構造を構築し、サプライチェーンの再編に対応する必要性がある。しかし、日本が数十年間競争優位を蓄積してきた素材、部品、装置分野の技術力とノウハウを短期間で追撃することは現実的に不可能だ。「素材、部品、装置の国産化」は非常に聞こえのいいスローガンだが、生半可に推し進めてはむしろ韓国産業に対する自害行為となりかねない。徐々に持続的に進められなければならない。素材、部品、装置のサプライチェーンが量と質の面で日本を追い越すまでは韓日間の相互依存性を認め、受け入れなければならない。そうしてこそ韓国に未来がある。
非メモリー半導体分野や自動運転、バッテリー、水素エネルギー、ロボット、人工知能、航空宇宙産業、量子コンピューティングなどで無尽蔵な革新が生じており、これらの分野をリードする国家が未来産業の覇権を握ることになるだろう。認めたくはないが、日本はこの産業分野でまだ韓国よりも進んでいる領域が多い。新しい技術や産業が開拓される昨今、未来のために日本との協力は避けられない。競合する領域では激しく競合して必ず勝ち抜き、共にしなければならない領域では多くのことを学ばなければならない。これが、韓日間の依存性を否定できない今、持続的成長と未来産業における覇権のために韓国が選択できる最も賢明な解決策だ。こうした脈略から、今回の韓日首脳会談は企業がこれ以上政界の目を気にせず、自由に日本と協力できるよう道を開いたという意味合いを持つ。
韓国と日本は最も多くの観光客が行き来する国だ。両国の20-30代が最も訪れてみたい国も、それぞれ韓国と日本だという。スラムダンクに韓国の観客が熱狂し、韓国のアイドルは日本でも韓国と同じくらい愛されている。依然として日本は韓国の敵なのか、それとも憎いところはあるが親しくならなければならない友人なのか。韓国歴史の「英雄」である安重根(アン・ジュングン)義士も、単に日本の帝国主義勢力を嫌っていただけで、日本と日本人は憎んでいないと言っていた。今や、観念的な自主性に陥り日本を排斥することと、両国間の相互依存性の現実を直視して未来をつくっていくために日本を活用できるアイデアを持つことと、果たしてどちらが韓国にとってより有益なのかを冷静に考えなければならない時を迎えている。
具承桓(ク・スンファン)京都産業大学教授