【独自】文在寅政権の再生可能エネルギー大量導入が原因で…2031年に大停電の懸念

立法調査処「電力バランスの崩壊が懸念」

 文在寅(ムン・ジェイン)政権で一気に広がった太陽光発電と風力発電の影響で、韓国における電力需給の安定性が損なわれ、2031年前後には過剰生産による「ブラックアウト(大停電)」が懸念されるという。国会立法調査処による独自の分析で分かった。電力は貯蔵が難しいため、需要と供給のバランスをうまく管理することが重要だが、再生可能エネルギーは原発のように生産量の調整が難しい。ブラックアウトは電力需要の過剰はもちろんだが、供給過剰の時にも発生するという。春と秋の電力需要が比較的少ない時期に太陽光などで過剰に電力を生産すれば、送電系統に無理が生じ大停電が起こる恐れがあるというのだ。ブラックアウトのリスク発生の時期が明記されるのは今回が初めてだ。

 立法調査処は今年1月に公表された第10次電力需給基本計画を分析し、その結果をまとめた資料を5日に韓国与党・国民の力の金承洙(キム・スンス)議員に提出した。それによると年度ごとの電力源で再生可能エネルギーが占める割合は2023年には22.1%だが、30年に36.7%、36年には45.3%にまで増えるという。今の電力生産の仕組みでは再生可能エネルギーの出力は調整できないが、電力の供給過剰が懸念される場合は風力発電装置の電源を切るか、原発など他の発電所で生産量を減らすなどの方法で供給を管理している。しかし再生可能エネルギーの割合が今後も高まった場合、2031年前後にはこのような形の管理が難しくなるほど電力バランスが崩壊し、大停電のリスクが高まるというのだ。

 立法調査処は「電力システムは複雑なため、どこで供給が過剰になるか正確には予測できない。そのため停電の規模が大きくなる場合は全国レベルの停電となるブラックアウトが起こりかねない」と説明した。このような形の電力バランスの崩壊は脱原発政策の影響が大きいという。文在寅(ムン・ジェイン)前政権は「2030NDC(国の温室効果ガス削減目標)」をそれまでの26.3%から40%へと一気に引き上げたが、二酸化炭素を排出しない原発の割合は2023年の17.5%から30年14.6%、36年13.2%へと少しずつ減らす形とした。従来の化石燃料を使った発電を再生可能エネルギーだけでまかなうことを目指したため、電力の安定性を損なうほど再生可能エネルギーを増やしてしまったというのだ。

 「ブラックアウト」への懸念はすでに現実になりつつある。今現在湖南(全羅南北道)地方で最も規模の大きい太陽光発電所は9111メガワットの出力があるため、今年春には霊光のハンビッ原発の出力を複数回減らした。原発の出力制限は需給のアンバランスを解消できない時に取られる最後の手段で、電力供給を管理するそれ以外の対応を取ってもアンバランスが解消できないときに行われる。それだけ春の時期は太陽光発電による電力の過剰生産が深刻だったのだ。韓国国内の太陽光発電は全羅南道(5057メガワット)、全羅北道(4054メガワット)、慶尚北道(3022メガワット)、忠清南道(2674メガワット)の順となっている。首都圏を除く韓国全土が事実上、再生可能エネルギーの電力供給過剰問題に直面しているのだ。

 2年後には第11次電力需給計画が発表される予定だが、この計画では再生可能エネルギーによる電力の過剰供給対策として「原発と再生可能エネルギーの割合見直し」を求める声も出ている。文在寅政権は温室効果ガスを大幅に減らすことを国際社会への公約とした。これを守りながら電力需給の安定性も同時に確保するには、二酸化炭素を出さない原発と再生可能エネルギーのバランスを科学的に改めて見直した「エネルギー・ミックス」戦略が必要になる。金承洙議員は「文在寅政権が電力需給の安定性を破壊した」とした上で「大停電という事態が現実となれば、天文学的な経済的被害に加え病院などでは人命被害も発生するだろう。そのためエネルギー戦略を今から見直さねばならない」と指摘した。

パク・サンヒョン記者

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