米CSISによるウォーゲームで、中国は日本国内の米軍基地を直ちに攻撃した。しかし、韓国に関してはさらに大きな構想がある。中国は台湾侵攻と同時に韓半島に第2戦線を形成し、米太平洋軍を韓半島と台湾に二分させることが必須だ。これはやるかやらないかの選択ではない。第2次世界大戦でドイツが敗れたのは、東西両戦線で敵を相手にしなければならなかったからだ。米軍にとっても両面戦線は厳しい。さらに、中国には韓半島で第2戦線を代わりにつくってくれる北朝鮮の存在がある。北朝鮮がその役割を担う可能性は十分にある。それは韓国の対中政策によって変わる問題ではなく、中国の軍事作戦上の必要によるものだ。「まさか」という領域ではない。最近公開された米国の機密文書によれば、中国の超音速ステルスドローンが韓国の群山・烏山の米空軍基地上空を通る作戦図があった。台湾問題と結び付けてみれば、その理由が簡単に理解できる。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が台湾問題について、「力による現状変更反対」の立場を表明すると、中国が「燃やされて死ぬことになる」と反発した。中国が台湾に侵攻する際、たとえ韓国に親中政権があったとしても、中国は韓半島に第2戦線をつくるための火をつける。韓国が「台湾問題不介入、中立」をいくら叫んでも、それとは関係なく純粋に中国の軍事的必要によって火をつけるのだ。韓米同盟がなくならない限り、中国が韓半島に第2戦線を形成する試みは阻止できない。
韓国にとっては、韓国に台湾の火の粉が降りかからないようにする最も確実な方法は、中国が台湾を侵攻しないことだ。中国が台湾に侵攻した瞬間、その炎は韓国に燃え移る。「中国は力で現状を変えるな」というのは国際社会の基本原則でもあるが、潜在的被害国である韓国国民にとっても切実な要求だ。
民主党が尹大統領の言及について、「敏感な台湾問題を不必要に正面から取り上げた」と批判するのは野党としては構わない。しかし、まるで尹大統領の言及自体が間違っているかのように攻撃することは、台湾問題の必然的な本質を見過ごしたものだ。どのみち他人の土地に火をつけようという考えている人がそばにいるにもかかわらず、「気に入られたら火をつけないだろう」と信じるとすれば純真というよりも愚かだ。民主党は北朝鮮の核問題に対してもそんな立場を取ってきた。民主党はその失敗から悟りを得てこそ、国民の信頼が高まるだろう。
楊相勲(ヤン・サンフン)主筆