「死んだ悪党」と向き合う社会の品格【朝鮮日報コラム】

5年前に死亡した米性犯罪者、関係者の調査はいまだ進行中
死亡した韓国の性犯罪者はなぜ賛美の対象にならなければならないのか

 日本では、また別の死者による犯罪が波紋を呼んでいる。有名芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」の創業者である故・ジャニー喜多川氏(2019年死亡)による過去の練習生に対する性加害問題が明らかとなり、社長が週初めに謝罪した。事務所側は加害者の釈明を聞けないとの理由から「被害を訴えている方々」という表現を使用したことについて論議を呼んではいるものの、「その方々に深く深くおわび申し上げる。決して許されないことだと思う」と頭を下げた。日本議会は未成年者に対する性加害を防止する制度作りに着手した。

 韓国にもこの世を去った性犯罪者がいる。ソウル市長という強大な地位を悪用して部下の職員に対してセクハラを繰り返し、その事実が明らかになると2020年に自ら命を絶った。国家人権委員会は2021年、同人物によるセクハラとソウル市の対処が誤っていたことを認め、再発防止策を勧告した。裁判所もこれを再確認した。にもかかわらず、元市長の家族と支持者たちは、3年にわたって被害者のことを偽物だと攻撃してきたほか、今では犯罪者を美化したドキュメンタリーまで作って公開するという。

 エプスタインから研究費を受け取っていたが2019年に謝罪文を発表したMIT機械工学科のセス・ロイド教授は、次のように書いた。「被害者の皆さまに謝罪し、許しを請います。私はエプスタインの釈明ではなく、警察の調査、裁判の結果、マスコミ報道などが明らかにした事実を、より執拗に確認していくべきでした」。朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長が引き起こした事件についてはさまざまな「事実」が公開されている。人権委ホームページの検索欄に「ソウル市長セクハラ」と検索するだけで、犯罪内容は確認できる。読解力が低下してしまったのか。性犯罪者を賛美するというやからがいまだに騒ぎを引き起こしている。失ってしまった韓国社会の品格を再び取り戻すのは容易でない。

キム・シンヨン国際部長

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 「死んだ悪党」と向き合う社会の品格【朝鮮日報コラム】

right

あわせて読みたい