中国初の国産空母「山東」の屈辱…米国に誇示する訓練で実力差が浮き彫りに

空母「山東」、就役から4年を経てグアム海域まで進出し、力を見せつけたが…

「スキージャンプ台を用いた発艦に限界、燃料補給の問題など、弱点ばかりがあらわに」との評価

 今年4月、中国空母の勢力誇示は最高潮に達しました。中国初の国産空母「山東」は、4月8日から10日まで台湾東方370キロの海上で台湾包囲攻撃訓練を行いました。台湾の蔡英文総統が米国で連邦議会のケビン・マッカーシー下院議長と会談し、戻ってきた直後のことでした。

【写真】空母「山東」のスキージャンプ台を利用して発艦するJ15戦闘機

 訓練が終わると、今度は南東へと向かいました。グアム西方710キロの海上まで進出して1週間、140回にわたりJ15(殲15)艦載機の離着艦訓練を行いました。有事の際に台湾を支援するルートを遮断する訓練をしたのです。中国国営の各メディアは「山東が遠距離総合作戦能力をアップグレードした」「台湾は今や袋のねずみ」と大々的な宣伝を打ちました。

■「手抜き工事」疑惑の中、西太平洋で初の訓練

 これに対し米国は、大して気に留めない雰囲気です。台湾包囲訓練当時、山東と370キロの距離を保ちつつその訓練を見守った空母ニミッツ機動部隊は、訓練が終わると正反対の西方へと向かい、南シナ海に入りました。山東の監視は日本の海上自衛隊に任せました。

 就役から4年を経て西太平洋に出てきた山東が「基礎体力訓練」をする様子を、わざわざ見守る理由はない、という意味でしょう。

 中国にとって2隻目の空母となる山東は、2019年の就役後、一度も西太平洋に進出せず、「性能に問題があるのではないか」という見方がかなりありました。2021年6月には、造船所に入った山東の飛行甲板にぶすぶすと穴が開いている様子が衛星写真で捕捉され、手抜き工事疑惑が持ち上がったこともあります。

 山東は、こうした疑惑を解消しようとするかのように一挙にグアム西方まで進出し、夜間の艦載機離着艦など、難度の高い訓練をこなしました。本国から2000キロ以上離れた遠洋まで進出して作戦を行う能力を備えたということを、立証してみせたかったのでしょう。

■空母ニミッツは山東を相手にもせず

 米国が山東を「大したことはない」と感じているのは、相応の理由があります。旧ソ連の空母を手本に作ったこの空母は、性能や戦闘力の面で米空母機動部隊の相手にはならないのです。

 中国は2012年、ウクライナから入手した旧ソ連の空母「ワリヤーグ」を改造し、初の空母「遼寧」を就役させました。山東は、このとき学んだ空母建造技術に基づいて独自に設計・建造した初の国産空母です。

 山東は、外観は遼寧と似ていますが、甲板上の艦橋(アイランド)を大幅に縮小して戦闘機の搭載数を大幅に増やしました。また、飛行甲板の下にも艦載機を積む空間を作るなど、西側式の設計を導入しました。遼寧にはJ15戦闘機24機が載りますが、山東は36機積めるといいます。

 しかし、艦首部分を高くして飛行甲板に12度ほど傾斜を付けて艦載機を発艦させる「スキージャンプ台」はそのまま残っており、空母の動力も原子力推進ではなくディーゼルエンジンを用いています。旧ソ連流のスキージャンプ方式が抱える最大の問題は、艦載機の発艦重量が大幅に落ちるということです。滑走路が短い空母で、スキージャンプ台のみを頼りに発艦させようとしたら、軽い機体でなければなりません。武装や搭載燃料を減らさなければならず、ずうたいの大きい早期警戒機や電子戦機などの搭載も困難です。

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