開城の南北共同連絡事務所爆破で447億ウォンの賠償要求、韓国政府が北朝鮮相手取り初の訴訟

 韓国政府は14日、北朝鮮が2020年6月16日に開城の南北共同連絡事務所を爆破したことで発生した国有財産への損害について、北朝鮮に447億ウォン(約49億2000万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。韓国政府が北朝鮮政府を提訴するのは今回が初めてだ。

 韓国統一部は連絡事務所爆破に対する損害賠償請求権の消滅時効(3年)が16日に到来するのを中断し、国家債権を保全するため、北朝鮮に損害賠償を求める訴状をソウル中央地裁に提出した。

 統一部は北朝鮮による連絡事務所爆破で発生した国有財産損害額について、連絡事務所庁舎が102億5000万ウォン、隣接する総合支援センターが344億5000万ウォンの計447億ウォンと算定した。

 統一部は「北朝鮮が暴力的な方式で連絡事務所を爆破したのは明らかな不法行為であり、南北間の合意に反するもので、相互尊重と信頼の礎を根底から損ねる行為だ」と指摘。「北朝鮮が韓国政府および韓国国民の財産権を侵害する行為には断固として対処する」と述べた。

 今回の訴訟の原告は「大韓民国政府」で、被告は「朝鮮民主主義人民共和国」だ。訴訟手続きは政府訴訟を担当する法務部が担当する。

 北朝鮮が今回の訴訟に応じる可能性はないため、政府が勝訴するとみられる。勝訴しても北朝鮮に損害賠償の履行を強制する手段はない。統一部当局者は「今回の訴訟提起の目的は損害賠償を受けることではなく、損害賠償請求権の消滅を防ぐことだ」と話した。

 南北共同連絡事務所は18年4月27日の南北首脳会談での「板門店合意」を受け、同年9月に開城工業団地に設置された。しかし、北朝鮮は北朝鮮へのビラ飛ばしに対する韓国政府の対応を問題視し、20年6月16日に連絡事務所庁舎を爆破した。

キム・ミョンソン記者

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  • ▲2020年6月17日、開城の南北共同連絡事務所を爆破する様子を北朝鮮の労働新聞が報じた。/労働新聞、ニュース1

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