チョ・グク一家が築いた新手のファミリービジネス【コラム】

 2019年に大韓民国で熱い議論の的になったチョ・グク元法務部長官の詭弁は今も続いている。全国を回って、著書の出版イベントを開き、大邱市では「私の娘のせいで他人が落ちたことはない」と話した。 娘チョ・ミン氏にる医学専門大学院の不正入学に関する質問に対してそう答えた。チョ・ミン氏が虚偽の経歴や書類で合格したという裁判所の判決が出ているにもかかわらず、他に被害者はいないという主張だった。

 もちろんこの言葉はうそだ。チョ元長官の妻チョン・ギョンシム氏の裁判では「誠実に準備した他の受験者が不合格になるという不公正な結果が起きた」との判断が示された。善意の不合格者がいたと判決にも明記された。常識的にも定員が決まった入試で不正入学者がいれば、それによる脱落者が出ることになる。明らかな事実さえチョ元長官は否認している。

 チョ元長官は入試妨害などの罪で懲役2年の有罪判決を受けた際にも詭弁を並べた。「8-9件の容疑で無罪判決を受けた」「裁判所に感謝する」と述べ、あたかも大部分の容疑を晴らしたように発言した。事情を知らない人が聞けば、勝訴したのだと感じたはずだ。これもまた、責任逃れの言葉遊びだった。チョ元長官は起訴された19件の容疑のうち、漢栄外国語高校、高麗大、延世大、忠北大、釜山大などの入試業務を妨害した罪のほか、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領に近い人物に対する監察をもみ消した罪など主な被疑事実で全て有罪となった。それでも事実を否定し、罪がないかのようにうそを繰り返している。

 チョ元長官は自分と家族が犯した一連の犯罪行為を一度も認めたことがない。反省どころか、全てが自身を標的とする捜査のせいだとし、自分を一家の災難の被害者と位置づけている。そこまで言い張る強いメンタルには感心するばかりだが、彼にはそうせざるを得ない現実的な理由がある。過ちを認めた瞬間、彼と家族が構築したビジネスモデルが崩壊するからだ。

 チョ元長官は2021年以後、毎年1冊の割合で本を出した。 検察の捜査に反論する「祖国の時間」は35万部が売れ、左派式国家経営を論じた「仮払い先進国」は10万部が出た。法的正義を扱った「法古典散策」は19刷まで増刷された。これまでの印税収入だけで8億ウォン(約8800万円)を超えると出版界は推定している。ソウル大教授の給料の数倍を稼いでいる。

 本の購入者は主にチョ元長官に忠誠を示す支持者だ。彼らはチョ元長官が検察権力にめちゃめちゃにされた無念の犠牲者、「進歩の闘士」と認識しているために支持する。もしチョ元長官が本当に破廉恥な犯罪者だと考えれば、すぐに支持を撤回して背を向けるだろう。このため、チョ元長官は支持者の幻想が壊れないようにしなければならない。さもないと、数億ウォンを稼ぐ出版ビジネスも成立しない。

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  • 【写真】今年4月に釜山市で著書に関するイベントに出席したチョ・グク元法務部長官と娘のチョ・ミン氏/聯合ニュース

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