チョ・グク一家が築いた新手のファミリービジネス【コラム】

 チョ元長官は金銭欲を隠そうとしない。釜山での出版イベントでは、収監中の妻チョン・ギョンシム氏の「病院費、弁護士費が心配だ」と大げさに話した。しかし、既にチョン氏には支援が殺到している。チョン氏が獄中で受け取った領置金(差し入れられた金銭)は2月末現在で2億4000万ウォンに達した。病院費と弁護士費を払っても十分に余裕がある金銭が支持者から流れ込んでいる。これも被害者コスプレをしたからこそ可能なことだ。

 娘のチョ・ミン氏はインフルエンサーに変身し、ユーチューブビジネスに乗り出した。彼女のユーチューブチャンネルは開設から1カ月もたたないうちにフォロワーが18万人を超えた。旅行に出かけておいしい店に行くというなにげない日常を投稿しているだけにもかかわらず、投稿1本当たりの再生回数は数十万回に達する。普通の会社員の年収程度は十分に稼ぐ水準だ。

 チョ・ミン氏も犯罪容疑者だ。チョン・ギョンシム氏の訴状にチョ・ミン氏は業務妨害、虚偽公文書・偽造私文書行使などの共犯として登場する。家族を同時に起訴しない司法慣行のため、起訴が先送りされているだけだ。それでもチョ・ミン氏は「堂々として恥ずべきことなく生きてきた」と話した。そう言い張るしかないだろう。罪を認めた瞬間、金もうけが不可能になるから。彼女はねつ造された書類で医学専門大学院に合格した後も成績不振で2回留年したが、奨学金を受け取って卒業した。特別扱いされた青年期を送った31歳の犯罪被疑者が何事もなかったのように明るい顔で日常を商売にして、カネまで稼いでいる。

 過去にチョ元長官は「皆が小川の竜になる必要はない。ザリガニやフナやカエルとして生きろ」と言った。そうして大きな夢をあきらめるように勧められた人たちが今、本を買って、支援金を送り、ユーチューブを見て、チョ・グク一家を食べさせている。他人には庶民として生きろと言っておきながら、自分たちは反則のはしごを登ったチョ・グク一家が今は庶民を相手にファミリービジネスを行う。偽りと殉教者のイメージを売って、不公正な金もうけをしている。

 おそらく総選挙が近づけば、票まで求めることだろう。「チョ・グク問題」はまだ終わっていない。

朴正薫(パク・チョンフン)論説室長

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  • 【写真】今年4月に釜山市で著書に関するイベントに出席したチョ・グク元法務部長官と娘のチョ・ミン氏/聯合ニュース

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