韓国原子力学会チョン・ボムジン教授「われわれは科学者だ…専門家が声を出さなければ国民に被害」(下)

【インタビュー】韓国原子力学会で6000人署名の先頭に立つ慶熙大学原子力工学科のチョン・ボムジン教授

韓国原子力学会チョン・ボムジン教授「われわれは科学者だ…専門家が声を出さなければ国民に被害」(下)

-日本が提示しているデータが正確でないとか、国際原子力機関(IAEA)が日本に有利な判断を下しているとの主張もある。

 「IAEAは信頼ある国際機関だ。IAEAがうそをつけば世の中のどんな資料も信じられない。もし日本の言うことがうそなら、最も大きな被害を受けるのは自国民だろう。日本は自国民を守らない国ということか」

-科学的根拠を持って訴えても信じられない理由は

 「扇動が成功しているのだろう。反対する勢力の話を今聞けば、セシウムやトリチウムのような放射性同位元素がいかに危険かばかりを正確に説明し、その量がごく微量ということは言わない。それは科学ではない。またバイアスをかけさせ一種のフレーム(枠組み)を作っている。日本に対する敵対心を刺激することも一つの方法だ。『福島汚染水は安全だ』といえば、『あなたは日本の首相ですか』と言われるようなものだ」

-6日に放送されたKBSラジオ「チュ・ジヌ・ライブ」に出演し、チュ・ジヌ氏が語る福島汚染水への懸念に一つ一つ反論したことが話題になった。

 「私は政治色のない人間だ。チュ・ジヌ氏の政治的な考え方については少し聞いていたが、そんなに影響力のある人とは知らなかった。ただ私が伝えるべきメッセージだけを決めて出演した。福島汚染水が安全という点と、日本の放流決定と関連して(汚染物質が)基準値以下ならそれを『やるな』と言う権利は他国にないということの二つだった。日本に汚染水を放流しろという意味ではない。ただ放流に反対はできないということだ」

-原子力発電所の安全問題について多くの声を上げているが、その理由は。

 「原子力は総合科学だ。非常に多くの専門家がいるが、全体を見られる人はそれほど多くない。細かい分野の専門家は私よりもその分野についてもっと優れているだろう。しかしそれ以外の実務に関する回答はできない。そのため原発に反対する人たちと会って討論するとき、彼らが後ろに下がる様子をたくさん目にする。私は公務員だった時に全体を見る経験をした。また私が専攻する安全工学はどうすればシステムを安全に構築できるか、安全設計はどうすべきかを研究する学問だ。そのため原発システム全体について関心を持たざるを得ない」

-韓国政府の今後の役割についてはどう考えるか。

 「間違った情報で不安が高まらないようにすることと、水産業に従事する人など被害者の発生を防ぐことだ。それには毎日情報を公開し、検査を拡大するなどして信頼を得なければならない。この種の問題について政府がやるべきことは放流の許容量を決めることだ。例えば農産物を例に挙げると、残留農薬をどこまで許容するかを決めることが政府の役割で、それでももっときれいに生産された農産物を食べたいという人は有機農製品を選択すればよい。国民が不安を感じているからといって全ての農産物を有機農にさせてはならない。政府が努力しても反対する人は必ずいるからだ」

キム・ヒョイン記者、ユ・ジハン記者

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